ベネズエラのキューバ部隊が撤退を開始=報道
キューバとベネズエラの関係は2000年代後半から深いものとなり、ベネズエラは原油供給を通じてキューバ経済を支え、その見返りとしてキューバは治安・医療・教育面で支援を提供してきた。
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ベネズエラとキューバの長年にわたる安全保障協力が、米国の圧力を受けて大きく変容している。米国の対ベネズエラ政策が強化される中で、キューバの治安・医療関係者がベネズエラから退去を始めたという情報が複数の関係筋から確認され、両国の同盟関係にほころびが生じている。これはラテンアメリカで最も重要視されてきた「左派連合」の再編を示す動きとみられる。
ロイター通信によると、退去を開始したのはキューバの治安顧問や医師らで、先週以降、そうした人々がキューバへのフライトで出国しているという。キューバ人たちはこれまで、ベネズエラ政府内の治安機関などに配置され、政権の安全保障に深く関与してきた。
これらの動きは、1月3日に実施された米軍による大統領拘束作戦で32人のキューバ人が死亡したことが一因とされる。キューバ共産党はこの作戦を非難し、両国の結束を強調してきたが、ベネズエラのロドリゲス(Delcy Eloína Rodríguez Gómez)暫定大統領は自身の護衛をベネズエラ人のボディーガードに委ね、キューバ人の役割を縮小する方向へと舵を切っている。
キューバとベネズエラの関係は2000年代後半から深いものとなり、ベネズエラは原油供給を通じてキューバ経済を支え、その見返りとしてキューバは治安・医療・教育面で支援を提供してきた。この協力関係はチャベス政権下で強化され、続くマドゥロ政権でも継続された。だが米国の軍事作戦はこの連携の核となっていた部分、特に治安面でのキューバの関与に大きな影響を与えた。
トランプ政権はキューバとベネズエラの関係解消を主要戦略の一部として推進してきた。米国はキューバへの原油輸出を阻止するなど経済的な圧力を強める一方、ロドリゲス暫定政権には関係修復の要求を続けているという。ホワイトハウス当局者は両国首脳が声明上で連帯を主張するにもかかわらず、米国の目的は関係を断ち切ることにあるとの立場を示している。
一方、キューバ共産党は米国の圧力に対し対話の意向を表明しているが、原油の供給停止や経済制裁措置を強く非難している。また、キューバ国内では燃料不足や医療施設への影響が深刻化し、この状況が退去を加速させている可能性も指摘される。米国の海上封鎖により燃料供給が途絶し、医療制度が危機的な状況にあるとの報告もある。
ただし、現時点で全てのキューバ人が退去したわけではなく、一部の治安顧問や諜報員は引き続きベネズエラ国内で役割を果たす可能性があるとみられる。専門家は今回の動きを「戦略的撤退」と位置付け、ロドリゲス暫定政権が米国の圧力と自らの政権安定化を天秤にかけながら関係修正を進めていると分析している。
このような展開はベネズエラ国内の政治・安全保障環境に大きな影響を与える可能性があり、キューバにとっても地域における影響力の後退を意味する。両国の長年の同盟関係が今後どのように変化するかは、米国の政策動向や地域政治の情勢次第である。
