◎キューバは冷戦時代の同盟国ソ連から何万台もの自動車を輸入し、その多くは今もロシアのエンジンを搭載し走り続けている。
2022年4月1日/キューバ、首都ハバナ、ロシアのビンテージカーLada(右)と米国のクラシックカー(Ramon Espinosa/AP通信)

親ロシアのキューバは西側の対ロシア制裁の影響を肌で感じている。

キューバは冷戦時代の同盟国ソ連から何万台もの自動車を輸入し、その多くは今もロシアのエンジンを搭載し走り続けている。

首都ハバナでロシアのビンテージカー「ラーダ(Lada)」に乗っているロドリゲス氏はAP通信の取材に対し、「新しいタイミングベルトが必要だ」と語った。

しかし、ロドリゲス氏によると、それは最近ロシアでしか手に入らないという。ロシアによるウクライナ侵攻後、欧米の制裁が強化されたことでロシアのフライトは中断された。

西側の対ロシア制裁は1960年代初頭から米国の禁輸措置下に置かれているキューバ人の生活に深刻な影響を与える可能性が高い。

キューバのトラック、バス、自動車、トラクターなどの多くはロシアから輸入されたもので、それらは老朽化し、部品やパーツを必要としている。そして、ロシア人観光客と同じく、それらはキューバに届かなくなった。

キューバの交通や貨物は西側のように整っていない。バスはしばしば不足し、貨物トラックは途中で故障し、通りにはロシア製のラーダ、ニーヴァSUV、ジープなどのクラシックカーがあふれている。

また1950年代に輸入された米国のクラシックカーも、時間をかけてロシア製のエンジンやその他の部品に合うように改造された。

国際機関の統計によると、キューバには米国のクラシックカーが約2万台、ラーダが8万~10万台あるという。

ハバナの南東にある旋盤工場を営むロドリゲス氏はAP通信に、「国内のラーダはすべてロシアから輸入されたものだ」と語った。「修理用の部品が不足すれば、多くの人が影響を受けるだろう」

ワシントンD.C.のアメリカン大学でキューバの経済を研究するレオグランド教授はソーシャルメディアに、「キューバはスペアパーツの確保に苦労するだろう」と投稿した。「対ロシア制裁の抜け穴を見つけたとしても、キューバは厳しい状況に置かれるでしょう。スペアパーツはより高価になり、輸入にも時間がかかるようになり、国民の生活と経済を傷つけます」

キューバの経済はトランプ政権による制裁強化やコロナウイルスの流行ですでに大打撃を受けている。

ハバナのタクシー運転手であるタボアダ氏は商売道具のラーダが故障しないか心配している。「戦争の影響で旅行もできず、観光客も減り、物資は足りず、燃料価格は上昇し続けています。私のラーダもロシアの部品を使っているため、故障すれば直せるかどうか分かりません」

コロンビアのハベリアナ教皇庁大学の経済学教授アレハンドロ氏はAP通信のインタビューの中で、「ロシア製パーツや部品の取引は主にインフォーマル市場(個人間)で行われているため、対ロシア制裁がキューバの市場に与えている影響を正確に把握することは困難」と説明した。

キューバ人は他国へのビザなし渡航に制約をかけられているが、ロシアは例外である。

アレハンドロ教授は、「ロシアは遠く運送費もかなりかかるが、キューバの市場と自営業者に確実に商品を届けてくれる市場のひとつだった」と述べた。

フロリダ州にはキューバと米国を行き来する人のためにロシアの自動車部品を専門に輸入している販売業者がある。しかし、ロシアの銀行との取引や海運に対する制裁は輸入を複雑にした。

マイアミでラーダやバイクの部品を扱っているMZマイアミのエルナンデス氏は、「開戦以来、需要が80%ほど上昇した」と述べている。

フロリダ州在住でキューバに頻繁に渡っているぺレス氏はAPに、「ステアリングの修理に必要な部品が見つからない」と語った。「以前は簡単に入手できました...」

ロシア製トラックのクランクシャフトを修理するためにロドリゲス氏の旋盤工場を訪れた男性は、交換部品がないと言われ、代わりに日本製の部品を使って改造すると述べた。「ロシアの部品がなければ、別の国の部品を使うまでです」

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