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キューバ全土で停電、今年2回目、エネルギー危機深刻化

キューバで停電が多発している背景には複合的な要因が絡んでいる。
2024年10月21日/キューバ、首都ハバナの通り(AP通信)

中米キューバ全土で10日、停電が発生した。

キューバはパンデミック以来、史上最悪の経済・エネルギー危機に直面しており、計画停電が常態化。1日数時間は当たり前、長い時は15時間を超える。

全土が停電に見舞われたのは今年2回目。昨年末にも3回報告されている。

共産党はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「今回の停電は火力発電所の故障に関連している可能性がある」と説明したが、調査を継続中としている。

また共産党は電力会社が復旧作業に当たっているとした。

今週初めには東部地域で停電が発生、100万人以上が影響を受けたとみられる。

昨年末のブラックアウトでは首都ハバナの中心部を除くほぼ全ての地域で停電が発生。900万人以上が影響を受けたと推定されている。

3月の大停電も復旧に数日を要した。

共産党は現在、中国政府の支援を受け、1000メガワット以上の発電が可能なソーラー発電所を50カ所以上建設する計画を進めている。

キューバで停電が多発している背景には複合的な要因が絡んでいる。第一に、発電設備の老朽化が深刻である。

キューバの主要な火力発電所の多くは旧ソ連時代に建設されたもので、既に耐用年数を大幅に超えている。部品の調達や修理が困難なため、頻繁に故障が発生し、計画停電や突発的な停電が避けられない状況になっている。加えて、国内の発電能力が需要を下回っており、観光業や都市部の電力需要の増大に対応できていない。

第二に、燃料不足の問題がある。キューバは石油や天然ガスの輸入に大きく依存しており、主な供給国であるベネズエラからの輸入量が政治的・経済的混乱によって減少した。さらに、米国の経済制裁が強化され、燃料の輸入や金融取引が制約されているため、発電用の燃料確保が困難になっている。その結果、発電所の稼働率が下がり、停電が日常的なものとなっている。

第三に、再生可能エネルギーの導入が遅れている点も大きい。政府は太陽光や風力発電の拡大を掲げているが、資金不足や技術的制約により計画は遅延している。その結果、依然として火力発電に大きく依存しており、燃料不足や設備不良が直ちに停電につながる構造が続いている。

さらに、送電網の老朽化も停電の頻発を招く要因となっている。インフラ整備に必要な投資が不足しており、送電線や変電所でのトラブルが頻発している。自然災害、特にハリケーンの被害を受けやすい地理的条件も重なり、停電リスクが常に高い。

このように、キューバの停電多発は発電設備の老朽化、燃料不足、経済制裁、再生可能エネルギーの遅れ、送電網の脆弱性といった要因が複雑に絡み合っている。停電は国民生活を直撃し、冷蔵保存や医療サービス、教育現場に深刻な影響を与えているが、短期的な解決は困難であり、根本的な改善には長期的なエネルギー政策の転換と国際協力が不可欠となっている。

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