◎キューバでデモが行われたのは昨年7月以来約1年ぶり。
キューバの首都ハバナで30日、ハリケーン「イアン」がもたらした広範な停電に抗議するデモが2夜連続で行われ、数百人が参加した。
米主要メディアによると、キューバ共産党は米国に緊急支援を要請したという。
キューバでデモが行われたのは昨年7月以来約1年ぶり。
ハバナ郊外の地区には数百人が集まり、「明かりをつけろ」と政府に抗議した。
ハリケーンイアンは27日にキューバ西部を直撃、2人の死亡が確認され、数十万世帯が停電した。国営電力会社によると、30日時点でハバナの世帯の約60%で停電が解消したという。
一方、米フロリダ州沖でキューバの亡命希望者とみられる人々を乗せたボートが沈没した事故では20人が行方不明になっている。
ハバナの数カ所で行われた抗議デモはSNSで拡散し、多くの市民が参加したようだ。
ロイター通信の取材に応じた男性は「暑くて倒れそうだ」と訴えた。「政府は支援を送らず、電力会社はのんびり復旧作業に当たっています」
ロイターによると、デモ隊は大通りで治安部隊に遭遇し、進行を阻まれたものの、暴力は確認されなかったという。
世界各国のネット接続状況を監視する英団体ネットブロックスは、ハバナのインターネット通信速度が落ちたり、遮断されたりしていると報告した。共産党はSNSで抗議デモが拡散するのを恐れているようだ。
電力会社は10月1日までにハバナ全域の停電を復旧したいと説明しているが、首都以外の地域でも停電が続いており、全面復旧の見通しは立っていない。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は30日、キューバ共産党がバイデン(Joe Biden)米大統領に緊急支援を求める異例の要請を行ったと報じた。
米政府が援助を提供するかどうかは不明だが、WSJは情報筋の話を引用し、「援助を提供する場合、医療機関、上水道、衛生施設、その他の重要インフラが優先される」と報じている。
バイデン氏はキューバとの関係見直しを表明していたものの、共産党が昨年7月の抗議デモを弾圧したことで方針を転換し、追加制裁を科した。
ディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)大統領はデモ発生時、共産党支持者にデモ隊と戦うようSNSで呼びかけていた。「さあ、通りに出て戦うのです。革命家たちよ!」