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キューバ政府、在米国大使館の発電用ディーゼル輸入認めず


問題となっているのは、在米国大使館が自家発電用のディーゼル燃料を輸入しようとした点である。
2026年3月19日/キューバ、首都ハバナの通り(AP通信)

キューバ政府が首都ハバナの在米国大使館によるディーゼル燃料の輸入要請を拒否したことが明らかになり、深刻化するエネルギー危機と米国との対立が改めて浮き彫りとなった。米政府関係者によると、この決定は両国関係のさらなる緊張を招く可能性がある。

問題となっているのは、在米国大使館が自家発電用のディーゼル燃料を輸入しようとした点である。キューバ国内では慢性的な燃料不足により停電が常態化し、外交施設も安定した電力供給の確保が困難となっている。こうした状況を受けて米側は燃料の持ち込みを求めたが、共産党はこれを認めなかった。

この拒否の背景には、米国による対キューバ政策がある。トランプ政権はキューバに対する「最大圧力」戦略を強化し、石油供給を事実上遮断する措置を講じている。とりわけ主要供給国であったベネズエラからの石油輸送が途絶えたことで、キューバは深刻な燃料不足に直面している。

燃料不足は国内の電力事情を直撃し、全国規模の停電や長時間の電力制限が相次いでいる。病院では手術の延期が発生し、大学も授業縮小を余儀なくされるなど、市民生活や公共サービスに深刻な影響が出ている。食料の保存も難しくなり、生活環境の悪化が進んでいる。

こうした中で米大使館も電力確保に苦慮しており、ディーゼル不足が続けば職員の削減を検討せざるを得ない状況にあるとされる。もし実施されれば、米国は対抗措置としてワシントンDCにあるキューバ大使館の人員削減を求める可能性があり、外交関係への影響も懸念されている。

さらに、燃料を巡る制約は他国の外交施設にも及んでいる。ハバナのスペイン大使館は余剰のディーゼルを保有していたが、他の欧州諸国の大使館への供給をキューバ政府が認めなかったとされる。燃料資源が国家によって厳格に管理されている実態がうかがえる。

一方、米側はキューバ政府に対し、政治犯の釈放や経済改革を求め、制裁緩和の条件として体制変革を迫る姿勢を崩していない。これに対しキューバ側は主権への干渉だと反発、双方の溝は深い。

今回の問題は単なる外交上の摩擦にとどまらず、エネルギー危機と政治対立が複雑に絡み合った構図を示している。燃料不足が国民生活だけでなく外交機能にも影響を及ぼす中、両国の対立が長期化すれば、キューバの社会・経済状況はさらに悪化する可能性が高い。事態の打開には、エネルギー供給と制裁政策を巡る双方の歩み寄りが不可欠だ。

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