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キューバ経済危機、ロシア産石油がまもなく到着予定


今回の輸送ではロシア船籍のタンカーが原油を、さらに香港船籍の船舶がガスや燃料を運搬しているとされる。
2026年3月16日/キューバ、首都ハバナ(AP通信)

カリブ海の島国キューバで深刻化するエネルギー危機を背景に、2026年に入って初となるロシア産石油が間もなく到着する見通しとなった。AP通信によると、共産党は天然ガスや太陽光、老朽化した火力発電所に頼る非常体制で電力供給を維持しており、電力網の崩壊が懸念される中での緊急措置と位置付けられている。

今回の輸送ではロシア船籍のタンカーが原油を、さらに香港船籍の船舶がガスや燃料を運搬しているとされる。これらは約3カ月ぶりの大規模なエネルギー輸入であり、逼迫する燃料事情の一時的な緩和が期待されている。

キューバの電力危機はここ数年で急速に悪化している。国内の発電は輸入燃料に大きく依存しているが、主要供給源であったベネズエラやメキシコからの供給が途絶えたことで、燃料不足が慢性化した。結果として全国規模の停電が多発し、送電網の脆弱さも相まって長時間の停電が常態化している。

こうした供給途絶の背景には、米国による対キューバ制裁の強化がある。特に2025年以降、石油供給を断つ「最大圧力」政策が進められ、キューバに燃料を供給する国や企業に対して制裁や関税の圧力が加えられてきた。その影響で多くの輸送が停止し、エネルギー不足が一気に顕在化した。

この危機は国民生活にも深刻な影響を及ぼしている。停電により公共交通や産業活動が停滞し、学校や医療、上下水道といった基礎的サービスにも支障が出ている。燃料不足は農業や物流にも波及し、食料供給や経済全体の停滞を招いている。

ロシアはこうした状況の中でキューバへの支援姿勢を強化し、今回の石油輸送もその一環とみられる。両国は歴史的に関係が深く、ロシア側は米国の制裁を批判しつつ支援継続の意向を示している。一方で、この動きは米国との緊張をさらに高める要因ともなっている。

もっとも、今回の輸送はあくまで一時的な対症療法に過ぎない。キューバのエネルギー構造は依然として輸入依存度が高く、制裁や国際情勢の影響を強く受けやすい。再生可能エネルギーの導入なども進められているが、危機を解消するには至っていない。

ロシア産石油の到着は逼迫した電力事情を一時的に和らげる可能性があるものの、根本的な解決には程遠い。対外依存と地政学的圧力の狭間で、キューバのエネルギー危機は長期化する見通しである。

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