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キューバ大統領「米国の軍事侵攻には断固して抵抗する」


カリブ海地域における米国とキューバの関係は長年にわたり緊張と対立を繰り返してきたが、今回の一連の発言はその構図が依然として続いていることを示している。
キューバ、首都ハバナ、国旗掲揚(Getty Images)

キューバのディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)大統領は12日、米国が同国に対して軍事攻撃や政権転覆を試みる可能性に強い警告を発し、「いかなる侵攻にも断固として抵抗する」との姿勢を明確にした。米国との緊張が続く中での発言であり、カリブ海地域の安全保障にも影響を及ぼす可能性がある。

ディアスカネル氏は米NBCのインタビューで、「米国にはキューバを攻撃する正当な理由は存在しない」と強調した。その上で、仮に軍事侵攻や共産党指導部の排除を狙う作戦が実行された場合には「戦いが起きる」と述べ、国民が武力をもって防衛に立ち上がると警告した。さらに「必要であれば命をかけて祖国を守る」と語り、徹底抗戦の構えを示した。

今回の発言の背景には米国との関係悪化がある。トランプ政権はキューバに対する圧力を強め、経済制裁の強化やエネルギー供給の遮断といった措置が続いている。特に2026年に入り、ベネズエラからの石油供給が途絶えたことにより、キューバ国内では深刻な燃料不足と停電が常態化し、経済や社会生活に大打撃を与えている。

ディアスカネル氏はこうした状況の原因は米国の「敵対的政策」にあると批判し、米国にキューバの政治体制の変更を要求する道義的正当性はないと主張した。一方で、対話そのものは否定せず、「いかなる前提条件もなしに話し合う用意がある」と述べ、外交的解決への余地も残している。

現在、両国は水面下で接触を続けているとされるが、協議の内容は明らかになっていない。米側はキューバ政府の体制改革を求める姿勢を崩しておらず、圧力路線を維持している。一方のキューバ側は主権と独立を強く訴え、外部からの干渉を拒否している。

また、エネルギー危機は国内の不満を高める要因ともなっている。燃料不足は交通や医療、物資供給に影響を及ぼし、市民生活は逼迫している。こうした状況の中で、政府は外圧による体制転換を警戒しつつ、国内の安定維持にも神経を尖らせている。

ディアスカネル氏の発言は米国による軍事的選択肢を牽制する狙いがあるとみられるが、同時に強硬な対抗姿勢を示すことで国内の結束を図る意図も垣間見える。実際、米国がキューバに対して政権交代を求める圧力を強めているとの見方もあり、両国の対立は新たな段階に入っている。

カリブ海地域における米国とキューバの関係は長年にわたり緊張と対立を繰り返してきたが、今回の一連の発言はその構図が依然として続いていることを示している。軍事衝突の可能性は現実化していないものの、相互不信の深さから偶発的な事態が発生する可能性も否定できない。

今後、対話が進展するのか、それとも対立がさらに激化するのかは不透明である。エネルギー危機と政治的緊張が重なる中で、キューバ情勢は国際社会にとっても注視すべき局面を迎えている。

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