キューバ大統領、経済・ビジネスモデルの「変革」を推進
現在の危機は複数の要因が重なった結果として深刻化している。

キューバのディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)大統領は2日、深刻化する経済および社会危機への対応として、国の経済・事業モデルに対して「緊急の」改革を進める必要性を強く訴えた。これは国家の根幹に関わる問題として、政権内外に変化への圧力が増していることを示すものだ。
国営テレビによると、ディアスカネル氏は閣議の中で、「この困難な状況に対処するためには、経済と社会モデルの見直しを急ぐ必要がある」と述べ、特に事業運営と自治体レベルの自律性、そして国家機構の再評価を進めるべきだと強調した。この発言はこれまでの中央集権的な経済を維持しつつも、柔軟性と効率性を高める方向での変革を求めたものと受け止められている。
現在の危機は複数の要因が重なった結果として深刻化している。石油の枯渇、石油輸入の遮断、そして主要な供給源であるベネズエラからの石油輸入の停止が経済活動に大打撃を与えている。またエネルギー供給の不安定さから停電や燃料不足が常態化し、日常生活や産業活動に悪影響が出ている。ディアスカネル氏はこれらの問題の解消に向け、食糧生産の強化や電力網の近代化を図るとしている。
共産党は太陽光発電の導入を含むエネルギー転換にも取り組んでいるが、進捗は限定的だ。当局は自治体レベルでの移行戦略が遅れていることを認めつつ、労働者への太陽光パネル配布などの措置を実施していると説明している。
ディアスカネル政権はこれまでにも燃料節約策として公共交通機関の縮小や教育機関のオンライン化といった措置を導入してきたが、これらは国民生活に大きな負担を強いるものとなっている。これに加え、米国による制裁の強化が経済にさらなる圧力をかけ、2024年3月から2025年2月までの1年間でキューバ経済は約80億ドルの損失を被ったと政府統計が示している。これは前年度比で50%の増加に相当する。
トランプ政権は一部の石油販売規制を緩和したものの、経済回復には至っていない。専門家の中には、キューバ経済の構造的な問題を指摘し、従来のモデルに依存し続ける限り困難が続くと警告している。
こうした中、ディアスカネル氏の呼びかけは、キューバ国内で経済改革への議論を活性化させる可能性を持つ。一方で、共産党の統制を維持しつつどの程度の柔軟性を導入できるか、そして国民生活を直ちに改善できる具体策を提示できるかが今後の焦点となる。政府は引き続き、エネルギーと食料安全保障の強化を最優先課題と位置づけ、内外の協力を模索していく姿勢を示している。
