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キューバ外務省「米国の攻撃に備えている」石油禁輸続く中


今回の石油封鎖はベネズエラからの供給停止や第三国への制裁を通じて実施され、キューバ経済を直撃している。
2026年3月17日/キューバ、首都ハバナの通り(AP通信)

キューバ外務省は22日、米国による石油封鎖で緊張が高まる中、「いかなる潜在的攻撃にも備えている」と述べ、主権防衛の姿勢を強調した。一方で、実際に軍事衝突が起きる可能性は低いとの認識も示し、米国との対話継続の必要性を指摘した。

発言したのはフェルナンデス・デコシオ(Carlos Fernández de Cossío)外務次官で、首都ハバナの記者会見で「米国の攻撃は想定していないが、備えは不可欠だ」と述べた。背景には、米国が主導する対キューバ圧力の強化がある。とりわけ石油供給を遮断する措置は経済と社会に深刻な影響を与えており、燃料不足や大規模停電が頻発している。

今回の石油封鎖はベネズエラからの供給停止や第三国への制裁を通じて実施され、キューバ経済を直撃している。輸入燃料への依存度が高い同国では電力不足や物流停滞が広がり、食料や医療など基礎的サービスにも影響が及んでいる。こうした状況が国民生活を圧迫し、共産党指導部への不満も高まっている。

さらに、トランプ(Donald Trump)米大統領がキューバに対し強硬な発言を繰り返していることも、緊張を一層高めている。トランプ氏はキューバの体制転換に言及するなど圧力を強めており、キューバ側はこれを内政干渉と強く反発している。キューバ政府は政治体制や大統領の地位は交渉の対象ではないと明言し、譲歩しない姿勢を鮮明にしてきた。

もっとも、米側は現時点でキューバ侵攻の準備は行っていないと明言している。南方軍(SOUTHCOM)の高官は連邦議会で、任務は在外施設の防衛や移民対応などに限られていると述べ、軍事行動の可能性を否定した。これにより、両国間の緊張は高いものの、直ちに武力衝突へ発展する状況ではないとの見方が強い。

それでも、キューバ側は警戒を緩めていない。2月には米国登録の船舶を巡る武力衝突事件が発生し、偶発的なエスカレートの懸念も残る。こうした中、両国は水面下で協議を続けており、移民問題や麻薬対策など限定的分野での協力の余地を模索されている。

エネルギー危機と外交対立が同時進行する中、キューバは対話と対抗の両面戦略を迫られている。共産党はあくまで主権維持を最優先に据えつつ、経済的苦境の打開に向けた国際的な支援や交渉の行方が注目されている。

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