キューバ当局、ベネズエラ大統領の「失脚」後について米国と協議=報道
キューバと米国の当局者はマドゥロ氏が「失脚」した後の地域情勢について協議したとされる。
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キューバ共産党内の“ある勢力”が南米ベネズエラのマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領について協議するために米当局と接触していたことが明らかになった。ロイター通信が情報筋の話しとして5日に報じた。
それによると、キューバと米国の当局者はマドゥロ氏が「失脚」した後の地域情勢について協議したとされる。接触した人物の氏名や役職、提案内容など具体的な情報は明らかになっていない。
この報道はトランプ政権が近年強めてきたベネズエラに対する圧力キャンペーンと連動する形で明らかになった。米側は麻薬密輸関への攻撃、海上封鎖、テロ組織指定や軍事態勢の強化などを通じて、マドゥロ政権の弱体化を狙っている。
一方で、キューバ政府は最近も公の場で米国の動きを強く非難していた。11月25日には米国がベネズエラ政府の転覆を企てていると批判し、「地域の安定と国際法を脅かす行為だ」と警告していた。
そうした声明にもかかわらず、内部から米国への接触があったことが示された事実は、キューバ内におけるマドゥロ政権への支持が必ずしも一枚岩ではない可能性を浮き彫りにする。特に、接触が「政権内の一部」とされた点から、反マドゥロの姿勢を取る勢力の存在が示された形だ。
今回の接触については、接触の目的が「政権交代後の地域秩序のあり方の模索」だった可能性が報じられている。ただし、これが単なる予備的な打診にとどまるのか、あるいは具体的な行動につながるのかは不透明なままである。ロイターは情報筋の話しとして、「話し合いはあったが、それ以上は明かさない」と伝えている。
もっとも、キューバ政府はこれまで一貫してベネズエラ政権への支持を表明してきた。たとえば今年8月にはマドゥロ氏を「ボリバル革命」の盟友と位置づけ、米国の軍事行動を「地域の平和を脅かすもの」と非難していた。
ただ、政権側でなくとも、「交渉の余地を探る勢力」が裏で動いていた可能性は、今後の地域情勢に新たな不確定要素をもたらす。もし交渉が進展すれば、マドゥロ政権の先行きだけでなく、キューバ・ベネズエラ間の関係や、米国の対外戦略にも影響を与えかねない。
現時点で確認されているのは「接触および協議の可能性」のみであり、計画や合意の内容、関係者の発言などは明らかになっていない。ただ、キューバ政府がマドゥロ支持を表明し続ける中で、影で異なる声や動きが起きている可能性が示されたことは、今後の中南米情勢を読むうえで注視すべきポイントと言える。
