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キューバ共産党、ベネズエラの政権崩壊で窮地に、原油確保できず

ベネズエラとキューバは長年にわたり緊密な関係を維持してきた。
2026年1月4日/エアフォースワンの機内で記者団の取材に応じるトランプ米大統領(AP通信)

米軍の作戦でベネズエラの独裁者マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が拘束されたことを受け、長年の同盟国であるキューバは経済的・政治的な不確実性に直面している。キューバ共産党は5日、ベネズエラにおける米軍の軍事攻撃で治安当局の将校32人が死亡したことを受け、半旗を掲げ、哀悼の意を表した。これらの将校はベネズエラ政権を支えるために派遣されていたキューバ軍・治安部隊の一員とされる。

ベネズエラとキューバは長年にわたり緊密な関係を維持してきた。特に石油供給はキューバ経済の生命線となっており、かつては1日10万バレル近くの原油が供給されていた時期もあった。近年は減少傾向にあるものの、マドゥロ政権下で約3万5000バレルが毎日キューバに送られ、エネルギー不足に悩む島国の燃料確保に大きく寄与していた。

トランプ(Donald Trump)米大統領はマドゥロ失脚を長年追求してきた政策の成果と位置付けると同時に、キューバ共産党弱体化も視野に入れていると明言している。キューバを支援するベネズエラの崩壊は、共産党にとって深刻な打撃となる可能性があるとの見方が広がっている。トランプ氏はマドゥロ失脚後、キューバ経済がさらに打撃を受けるとの見通しを示し、「キューバは倒れる準備ができている」と述べた。

キューバ国内では燃料不足と停電、食料や日用品不足が常態化しており、住民の生活は厳しさを増している。マドゥロ失脚を受けて将来への不安が一段と高まり、市民の間には悲嘆と共に動揺の声が聞かれる。「言葉がない」と語る高齢の女性や、「強く立ち向かうしかない」と拳を握る住民もいたと伝えられている。

専門家は、米国がベネズエラからの石油供給をどのように扱うかがキューバの今後を左右すると指摘する。米国が供給継続を許可するかどうかは不透明であり、現時点で代替供給源も限定的である。これまで一部の石油を供給していたメキシコも、米国からの圧力を受けて供給量を減らした。

キューバ共産党は米国の作戦を「テロリズム」と非難し、国際社会に支援を呼びかけている。しかし、ベネズエラの政権崩壊が同国の支援体制に及ぼす影響は甚大で、今後の経済・社会の混乱が懸念される。キューバの政治指導部は、国内結束を訴える一方で、失業や物資不足の深刻化にどのように対処するかを迫られている。

マドゥロ失脚後、ベネズエラでは暫定政権が発足するなど情勢が大きく動いており、中南米全体の地政学的な構図にも影響を与えつつある。この変動の中で、キューバがこれまでの同盟関係を失い、自国の存立基盤を再構築できるかが今後の焦点となる。

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