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キューバ大停電、復旧作業進まず、エネルギー危機


停電は21日夜、中部カマグエイにある火力発電所が停止したことをきっかけに発生した。
2026年3月21日/キューバ、首都ハバナ(AP通信)

カリブ海の島国キューバで21日に発生したブラックアウトについて、政府が復旧作業を進めている。首都ハバナを含む広い地域で数百万人が暗闇に置かれ、同国の深刻なエネルギー危機が改めて浮き彫りとなった。

停電は21日夜、中部カマグエイにある火力発電所が停止したことをきっかけに発生した。このトラブルが連鎖的に送電網全体へ波及し、全国の電力システムが崩壊。人口の大半にあたる約1000万人が影響を受け、3月だけで3度目となる大規模停電となった。

政府は翌22日から復旧作業を開始し、各地で「マイクロシステム」と呼ばれる小規模な独立電力網を稼働させた。これにより病院や給水施設、食料供給拠点など重要インフラへの電力供給を優先的に再開している。しかし、復旧は限定的で、ハバナでも数万人規模にとどまり、大半の住民は依然として停電状態に置かれている。

停電は日常生活に深刻な影響を及ぼしている。冷蔵庫が使えず食料の保存が困難となり、通信網もほぼ停止した。多くの市民が薪を使って調理するなど、厳しい生活を強いられている。長時間の停電は水供給にも影響し、都市部でも生活インフラの脆弱さが露呈している。

今回の危機の背景には老朽化した電力インフラと慢性的な燃料不足がある。ディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)大統領は外国からの石油供給が3カ月間途絶えていると明らかにし、国内生産だけでは需要の4割しか賄えないと説明している。さらに、米国による経済制裁や近年強化されたトランプ政権のエネルギー制裁措置により、燃料調達が一段と困難になっている。

キューバでは近年、同様の大規模停電が頻発し、電力網の不安定さが常態化しつつある。燃料不足に加え、設備の老朽化や保守部品の不足が重なり、送電システムは限界に近い状態とされる。こうした状況は経済活動にも打撃を与え、交通や産業、医療体制に広範な影響を及ぼしている。

政府は復旧を急ぐとともに、エネルギー危機の解消に向けた国際交渉や国内改革を模索しているが、先行きは不透明である。今回のブラックアウトは単なる事故ではなく構造的問題の表れであり、電力インフラの再建と安定した燃料供給の確保が急務となっている。頻発する停電に対する国民の不満が高まり、エネルギー問題は同国の社会・経済の行方を左右する重大な課題となっている。

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