コスタリカ大統領、人工妊娠中絶の要件強化「生命の危険がある場合のみ」
メキシコやアルゼンチンなどラテンアメリカの大国が近年中絶の権利を拡大している一方、中米諸国は厳しい制限を維持している。
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中米コスタリカのチャベス(Rodrigo Chaves)大統領は15日、人工妊娠中絶の適用範囲をさらに制限し、「母親か胎児の生命が危険にさらされている場合に限定する」と発表した。
同国のこれまでの規制では、妊娠が母親の健康を脅かす場合にも中絶が認められていた。
チャベス氏は今月初めの福音同盟の集会で中絶法を強化すると約束していた。
チャベス氏は記者会見で、「今日から罰則なしに中絶が認められる唯一の理由は、母親の命か胎児の命が危険にさらされている時のみだ」と語った。
メキシコやアルゼンチンなどラテンアメリカの大国が近年中絶の権利を拡大している一方、中米諸国は厳しい制限を維持している。
ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグアは完全禁止、グアテマラは母体の生命が危険にさらされる場合に限り中絶を認めている。
コスタリカは長年、例外を除きほとんどの中絶を禁じてきた。例外は明確に定義されていなかったが、2019年の法改正で「母親の健康が危険にさらされている場合」に中絶を認めると定めた。この場合でも、医師の判断と厳格な手続きが必要となり、実際に実施されるケースは非常に少ない。
中絶の権利を求める声は国内外から上がっており、国際人権団体なども法改正を求めているが、カトリックの影響が強い社会的背景もあり、議論は進みにくい状況にある。
また、性的暴行や胎児の重度障害といった事情による中絶も認められておらず、多くの女性が中絶を求めて他国へ渡航するか、非合法な手段に頼っている。
このように、コスタリカにおける人工妊娠中絶は、法的にも社会的にも厳しい制限の下にあり、女性のリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)の制約が大きな課題となっている。