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コスタリカ、米国から毎週25人の「第三国移民」受け入れへ


これはトランプ政権の移民政策の一環として進められている「第三国送還」制度の拡大を示すものであり、人権面や法的問題を巡って議論を呼んでいる。
コスタリカ、首都サンホセ、国会議事堂(Getty Images)

中米コスタリカ政府は26日、米国から第三国出身の移民を受け入れる新たな枠組みに合意し、週あたり最大25人の送還者を受け入れる方針を明らかにした。これはトランプ政権の移民政策の一環として進められている「第三国送還」制度の拡大を示すものであり、人権面や法的問題を巡って議論を呼んでいる。

発表によると、米国は自国で拘束した移民のうち本国へ送還できない人々をコスタリカに移送する。コスタリカ側は受け入れ人数を週25人程度とし、事前通知を受けたうえで受け入れの可否を判断できるとしている。犯罪歴のある人物は対象外である。

この政策はトランプ政権が進める強硬な移民対策の柱の一つである。従来、移民は出身国へ送還されるのが原則だが、迫害の恐れなどから帰国できないケースも多い。第三国送還はそうした人々を別の国に移すことで国内の滞留を防ぐ狙いがある。すでにアフリカの南スーダンやルワンダ、ホンジュラス、ガイアナ、カリブ海諸国など複数の国が合意している。

しかし、この仕組みは国際的な批判も強い。送還先の国は多くの場合、移民にとって言語や文化的なつながりがなく、難民申請の制度も十分に整っていない。その結果、移民が法的地位を得られない「宙づり状態」に置かれる可能性が指摘されている。

コスタリカ政府は人道的配慮を重視する姿勢を示している。受け入れた移民には国内法に基づく特別な在留資格を与え、迫害の恐れがある国へ強制送還しないと説明している。また、国連の専門機関である国際移住機関(IOM)と連携し、住居や食料の提供など基本的支援を行うとしている。

一方で、同国における過去の受け入れ事例は課題も浮き彫りにしている。2025年には米国から約200人の第三国移民が移送され、一部は収容施設での生活を余儀なくされた。子どもを含む移民の権利が侵害されたとして訴訟も起き、対応の不備が問題視された経緯がある。

さらに、こうした第三国送還そのものの合法性も争われている。米国では連邦裁判所が、この政策が移民の権利を侵害する可能性があるとして違法と判断した事例もあり、制度の根幹に疑問が投げかけられている。

人権団体は第三国送還が難民保護の原則を形骸化させると批判する。亡命を求めて米国にたどり着いた人々が、十分な審査を受けないまま第三国へ移されることで、安全が確保されない恐れがあるためだ。また、送還先の国で長期拘束や劣悪な環境に置かれるケースも報告されている。

それでもトランプ政権は移民の急増に対応するためには第三国との協力が不可欠だと主張する。自国内での収容能力や司法手続きの限界を背景に、国外への分散が現実的な選択肢だと位置付けている。

コスタリカにとっても、この合意は難しい判断となった。同国は比較的安定した民主主義国家として国際的評価が高い一方、経済規模は大きくなく、大量の移民受け入れは社会的負担となり得る。それでも政府は米国との関係維持や国際協力の観点から受け入れに踏み切ったとみられる。

今回の合意は移民問題が一国では解決できないグローバルな課題であることを改めて示している。同時に、受け入れ国に負担を転嫁する構図や、移民の権利保護とのバランスをどう取るかという難題も浮き彫りにした。第三国送還の拡大は今後も続く見通しだが、その是非を巡る議論は一層激しさを増しそうだ。

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