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コスタリカ議会、チャベス大統領の免責を剥奪する法案否決

これは最高選挙裁判所がチャベス氏の公的発言が選挙中立義務に違反しているとして免責を取り除くよう求めたものであり、議会はこれを退けた形だ。
2025年11月28日/コスタリカ、首都サンホセ、チャベス大統領(AP通信)

コスタリカ議会(一院制、定数57)は16日、チャベス(Rodrigo Chaves)大統領の免責を剥奪する法案を反対多数で否決した。

これは最高選挙裁判所がチャベス氏の公的発言が選挙中立義務に違反しているとして免責を取り除くよう求めたものであり、議会はこれを退けた形だ。チャベス氏は違法行為を否定し、最高裁による申し立てを政治的動機によるものと主張している。

採決の結果、チャベス氏の免責を剥奪する法案を反対多数で否決。これにより、チャベス氏が訴追される可能性はなくなった。

野党はチャベス氏の選挙関連発言が大統領による選挙への介入にあたると批判していたが、免責剥奪には至らなかった。

今回の問題は2026年2月に予定されている大統領選挙を控え、政治的な緊張が高まる中で表面化した。コスタリカの法律は現職大統領が選挙期間中に特定の政党や候補者を支持したり、選挙に影響を与える発言をしたりすることを禁じている。

チャベス氏は記者会見や公的発言が選挙運動や政党支援に該当するとの主張を否定、中立性を尊重した行動だったと反論してきた。

チャベス氏はこれにより、在任中は訴追されずに職務を続けることができる。同氏の任期は2026年5月8日までで、任期終了後に訴追手続きが再開される見込みだと地元メディアは報じている。

チャベス氏はこれまでも免責剥奪をめぐる採決を乗り越えており、今年9月には汚職疑惑に関連して免責を剥奪しようとする別の試みも議会で否決された。これはコスタリカの政治制度における権力と責任のバランスをめぐる論争を浮き彫りにしている。チャベス氏の支持者はその政策や安全保障重視の姿勢を評価する一方、反対派は政府の透明性と法令遵守の必要性を訴えている。

野党はチャベス氏が定例会見などを通じて自身の政党の利益を間接的に後押ししていると批判していたが、与党側は具体的な証拠が不十分であるとする立場をとった。また、免責剥奪に反対する議員らは、法的手続きが適切に遵守されていないとして採決そのものに疑問を呈する声も上がった。

この決定により、コスタリカの政治的緊張はしばらく続くとみられる。司法当局と政府の対立は国民の注目を集めており、来年の大統領選挙に向けた政治的な駆け引きが一段と激しくなる可能性がある。

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