コロンビア大統領がハイチ訪問、ギャング戦争続く中
ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
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コロンビアのペトロ(Gustavo Petro)大統領が18日、中米ハイチを訪問し、暫定大統領評議会の議長らと会談した。ペトロ氏のハイチ訪問は今年1月以来6カ月ぶり。
ペトロ氏は首都ポルトープランスに在コロンビア大使館を開設すると表明し、国家警察による治安強化作戦を支援すると約束した。
またペトロ氏は国際社会に対し、ハイチへの支援を強化するよう呼びかけた。
暫定大統領評議会は26年2月までに総選挙を行うと約束しているが、ギャングの支配下に置かれる地域で投票が行えるかは不透明な情勢だ。
ペトロ氏はフィゼメ(Alix Didier Fils-Aimé)首相や暫定大統領評議会のアルフォンス・ジャン(Fritz Alphonse Jean)議長らと会談した。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。
ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は先週、ポルトープランスとその周辺で暴力が激化し、24年10月以降、約5000人が殺害され、数十万人が新たに避難を余儀なくされたと明らかにした。
コロンビア政府は18日の声明で、「両国間の安全保障、商業、教育、農業、麻薬密輸対策に関するプロジェクトの見直しを行う」と明らかにした。