パナマ政府と香港CKハチソンの対立激化、パナマ運河めぐる争い
今回の対立の発端は1月末にパナマ最高裁がPPCの港湾運営契約を違憲と判断したことだった。
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香港の複合企業CKハチソン・ホールディングスは6日、パナマ政府による港湾施設の接収に対抗するため、法的措置を強化した。政府がパナマ運河の港湾運営権を取り上げる動きを進めたことを受け、同社は国内外での訴訟や仲裁手続きを拡大し、対立が激化している。
問題となっているのは、同社の子会社パナマ・ポート・カンパニー(PPC)が運営してきた2つの主要コンテナ港である。これは太平洋側のバルボア港と大西洋側のクリストバル港で、パナマ運河の両端に位置する戦略的拠点だ。両港はパナマ国内のコンテナ取扱量の大きな割合を担っており、世界の海上物流にとって重要な拠点である。
今回の対立の発端は1月末にパナマ最高裁がPPCの港湾運営契約を違憲と判断したことだった。最高裁はこの契約を承認した法律や2021年の契約延長について法的根拠が不十分だと認定し、政府に対して運営権を見直すよう命じた。その後、政府は港湾施設の管理権を掌握し、運営体制の変更に動き出した。
これに対しCKハチソンは、政府の措置が国際法や契約上の義務に違反していると主張している。同社は声明で、パナマ当局が「違法に施設を占拠し、資産を押収した」と批判、十分な協議も行われなかったと指摘した。こうした理由から、同社は政府の決定を無効とするよう求める申し立てを提出し、投資協定に基づく国際仲裁も視野に入れている。
実際、PPCはすでに国際仲裁の手続きを進めており、パナマ政府による港湾接収は投資家の権利を侵害するものだと主張している。仲裁の行方によっては、数十億ドル規模の損害賠償請求に発展する可能性もあるとみられている。
一方、パナマ政府は港湾運営の空白を避けるため、デンマークの物流大手「APモラー・マースク」とスイス・イタリア系の地中海海運会社(MSC)に暫定的な運営を委ねている。政府は新たな運営契約を結ぶための手続きを進めており、将来的には再入札によって港湾運営者を選定する予定だ。
この問題は単なる企業と政府の対立にとどまらず、国際政治とも結びついている。パナマ運河は世界貿易の要衝で、港湾の管理権をめぐって米国と中国の影響力争いが背景にあると指摘されている。トランプ(Donald Trump)米大統領は中国の影響力を減らす必要性を強調し、パナマ政府の動きを支持する姿勢を示している。
さらに、CKハチソンは2025年に世界各地の港湾事業を売却する計画を進め、米国の投資会社ブラックロック率いる企業連合体との約230億ドル規模の取引が検討されていた。この計画にはパナマの港湾も含まれていたが、今回の接収問題により取引の内容や進行にも影響が出ている。
パナマ運河周辺の港湾をめぐる争いは国際物流、地政学、企業投資の利害が交差する複雑な問題となっている。CKハチソンとパナマ政府の法廷闘争は長期化する可能性があり、その結果は運河周辺の港湾運営や国際海運の勢力図にも影響を与えるとみられている。
