◎ソドミー法はゲイセックス(オーラルセックス含む)を犯罪とする法律である。
東カリブ海最高裁判所は5日、島国アンティグア・バーブーダのソドミー法を違憲とする判決を下した。
同最高裁は東カリブ海諸国連合(OECS)の高等裁判所。ソドミー法はゲイセックス(オーラルセックス含む)を犯罪とする法律である。
同最高裁は判決の中で、「アンティグア・バーブーダのソドミー法は自由、法の保護、表現の自由、個人のプライバシーの保護、性差別から保護される権利を侵害する」とした。
原告はアンティグア・バーブーダの保健省に努める男性と地元の人権団体。同国はこの法律を1995年に施行した。
ソドミー法で有罪判決を受けることは極めて少ないとされるが、成人男性がアナルセックスをして有罪判決を受けた場合は15年以下の禁固刑に処される可能性がある。オーラルセックスは5年以下。
原告の男性はこの法律のせいで迫害され、暴行を受けたと主張している。敬虔なキリスト教徒の多いカリブ海諸国でこのような事件は珍しくなく、LGBTQ+(性的少数者)は差別の対象となっている。
またこの男性はゲイであることを理由に医療機関への立ち入りを拒否されたこともあると証言している。
ソドミー法廃止を求める人権団体は、「LGBTQ+の人々は告発されることを恐れてエイズ検査や治療を受けられず、一部の医療従事者から敵視されることもある」と指摘している。
ソドミー法は旧イギリス植民地でよく見られるが、近年各地で異議を唱えられている。ベリーズとトリニダード・トバゴの裁判所でも同様の異議申し立てが係争中である。
この地域で活動する人権団体ECADE(The Eastern Caribbean Alliance for Diversity and Equality)は5日、判決を歓迎した。
ECADEは声明の中で、「ソドミー法はヘイトスピーチ、差別、暴力を正当化し、社会を引き裂く」と述べた。
国連によると、カリブ海の7カ国では同性間の同意に基づく性行為がいまだに犯罪とされている。刑罰を科されることは滅多にないが、同性愛者は差別の対象になっている。
アンティグア・バーブーダ政府は上訴するかどうかを明らかにしていない。上訴した場合はイギリスの枢密院に送られる。