◎国内の活動家やNGOはこの刑法を「非人道的」と非難し、廃止を求めてきた。
バルバドスの最高裁判所は12日、同性の性行為を犯罪とする植民地時代の法律「ソドミー法」を違憲と裁定した。
同性の性行為(オーラルセックス含む)を禁じる刑法はイギリス植民地時代に導入された。刑期は最高で終身刑。
国内の活動家やNGOはこの刑法を「非人道的」と非難し、廃止を求めてきた。
ロンドンに本部を置く人権団体ヒューマン・ディグニティ・トラストは声明で、「カリブ海でLGBTQの嵐が吹き荒れている」と述べ、最高裁の判決を称賛した。
この刑法で起訴される人はほとんどいなかったが、LGBTQ+(性的少数者)は嫌がらせやヘイトクライムの対象となり、殺害された人も少なくない。
国連合同エイズ計画(UNAIDS)も判決を祝福し、ゲイセックスの非犯罪化でLGBTQの人々がHIV検査、治療、予防サービスを受けやすくなると指摘した。
またUNAIDSは、「ゲイセックスの非犯罪化は命を救い、世界を変え、より強い社会を築く」と述べた。
カリブ海のいくつかのキリスト教会や組織はゲイセックス合法化に反対しており、一部の政治指導者もその考えを支持している。
アメリカ大陸でゲイセックスを禁じる国はガイアナ、グレナダ、ドミニカ、セントビンセント・グレナディーン、ジャマイカの6カ国のみとなった。
この6カ国のLGBTQコミュニティは暴力やヘイトに嫌気がさせ、その多くが近隣諸国や米国に亡命している。
東カリブ海最高裁判所は今年、アンティグア・バーブーダとセントクリストファー・ネイビスの刑法を違憲と裁定した。同最高裁は東カリブ海諸国連合(OECS)の高等裁判所である。
世界では67の国と地域が同様の裁判を進めている。
バルバドス最高裁は刑法を違憲と裁定したが、その理由を詳述した判決文は来年1月下旬に公表するとしている。
政府が上訴するか否かは不明。上訴した場合はイギリスの枢密院に送られる。
バルバドスのモトリー(Mia Mottley)首相は司法長官時代にこの刑法の廃止を求めていた。
この訴訟は2人のLGBTQ活動家が地元の人権団体の支援を受けて提起したものである。