キューバ大統領交代か、トランプ政権の圧力強まる中
ディアスカネル氏は2018年に前大統領の指名を受けて就任し、カストロ家以外の指導者としては初めて1959年の革命以降政権の座に就いた人物である。
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米国の対キューバ制裁が強まる中、キューバ大統領の交代に関する憶測が高まっている。これはトランプ(Donald Trump)米大統領がキューバ共産党の指導部交代を強く求める姿勢を示しているためである。現職のディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)大統領は任期が残り2年あるものの、経済やエネルギー危機の深刻化により支持が低迷し、政権内外でその座を維持できるか疑問視する声が強まっている。米政府による圧力は指導層に変化をもたらす可能性を示唆している。
ディアスカネル氏は2018年に前大統領の指名を受けて就任し、カストロ家以外の指導者としては初めて1959年の革命以降政権の座に就いた人物である。それでも党内外からは、実権は依然としてカストロ一族や軍・安全機構にあるとの見方が根強い。米国の圧力が強まる中で、次期政権の候補としてカストロ家の親族の名前が挙がっている。
有力視されている候補の一人はラウル・カストロ(Raul Castro)前第1書記の大甥であるオリバ・フラガ(Oscar Pérez-Oliva Fraga)氏である。オリバ・フラガ氏は55歳、これまで目立った存在ではなかったが、24年5月に外国貿易・外国投資大臣に就任し、25年10月には閣僚評議会副議長に抜擢された。同氏は技術官僚としての評価があり、経済改革や国際関係の改善を訴える可能性があると専門家の間で評価されている。
もう一人の有力候補として注目されるのが、ラウル・カストロ氏の孫であるラウル・ギレルモ・ロドリゲス・カストロ(Raúl Guillermo Rodríguez Castro)氏である。同氏は公職経験はないものの、祖父の側近や警護の経歴を持つ人物だ。かつては祖父のボディガードを務め、その後、治安機関に携わったとされる。最近では米政府高官と非公式に接触するなど、外交面での存在感を強めつつある。
こうした動きは、キューバ国内でディアスカネル氏への不満が高まる一方で、まだ明確な改革路線が示されていない状況が背景にある。経済的苦境やエネルギー不足、電力網の脆弱性などが深刻化する中で、多くの国民が政府の対応に不満を募らせているとの指摘もある。また、米国が経済制裁や外交的圧力を強化する動きが続けば、政権内での指導者交代論は一層強まる可能性がある。
米側は公式に「キューバの政治体制への内政干渉」を認めていないものの、言動としては現指導部に対する圧力を強める姿勢が鮮明だ。トランプ氏自身や一部の議員はキューバ共産党の一党支配を批判し、人権や民主化の推進を求める発言を繰り返している。また、米側の外交官がカリブ海地域の会議でキューバ高官と接触する場面もあり、非公式ながらも双方の関係に変化の兆しが見えるとして、国際政治の専門家の関心を集めている。
他方、キューバ政府は外部からの圧力に対し内政問題として反発を示し、自国の政治体制や主権を守る姿勢を崩していない。革命以来の一党体制を堅持し、政治的変革は外部からの強制ではなく国内での議論と判断によって進められるべきだと主張している。
今後のキューバ政治の行方は不透明である。一方では米国の圧力と国内経済の困難が変革を促す可能性があるとみられるが、他方で革命体制を支持する勢力や軍・党内の既得権層が影響力を保持し続けるとの見方も根強い。このため、次期大統領候補としてカストロ一族の名が再び浮上するなか、キューバの政治的行方は国内外の複合的な力学によって左右されることになりそうだ。
