◎カスティジョ前大統領は昨年12月、議会を一時的に解散し、「特別緊急政府」を設置するとテレビ演説で発表したものの、議会の弾劾投票で罷免され、反逆罪で逮捕された。
メキシコのオブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領は29日、「反逆罪で逮捕されたペルー前大統領のカスティジョ(Pedro Castillo)容疑者はクーデターで失脚した」という認識を示した。
オブラドール氏は定例会見で、「カスティジョ大統領は合法かつ正当な大統領であり、クーデターで逮捕・投獄されたのだ」と主張した。
またオブラドール氏はカスティジョ容疑者の後を継いだボルアルテ(Dina Boluarte)大統領を「差別主義者」と呼んだ。
カスティジョ容疑者は昨年12月、議会を一時的に解散し、「特別緊急政府」を設置するとテレビ演説で発表したものの、議会の弾劾投票で罷免され、反逆罪で逮捕された。
その後まもなく、副大統領のボルアルテ氏が同国初の女性大統領に就任した。
しかし、オブラドール氏は記者会見で、「私は彼(カスティジョ氏)が合法かつ正当なペルーの大統領であると宣言する」と述べた。「彼はクーデターで逮捕・投獄されたのです!」
またオブラドール氏は「差別主義者(ボルアルテ氏)はカスティジョ氏を受け入れない。なぜなら、彼は地方出身の先住民族だからだ」と主張した。「あの差別主義者は地方の田舎者を追放したのです!」
オブラドール政権はボルアルテ政権の承認を撤回するとは言っていない。しかし、左派政党を支持する「癖がある」オブラドール氏の姿勢は両国の関係に悪影響を与えている。
ボルアルテ氏は先月、オブラドール氏の発言を受け、駐メキシコ大使を帰国させた。
メキシコ合衆国は「他国政府を承認することも承認しないこともない」という方針を取っている。
ペルーではカスティジョ氏の逮捕に抗議するデモが数カ月続き、警察官を含む70人近くが死亡したと報告されている。
オブラドール氏はペルーの暴徒に対する取り締まりを非難しているが、同じく左派であるニカラグアのオルテガ政権の弾圧には沈黙を守っている。