◎赤十字はこの2カ月間、約21万人を養える食料を準備し、毛布、断熱材、ヒーターなどの防寒品も合わせて配布した。
2021年8月13日/アフガニスタン、首都カブールの国内避難民キャンプ(Getty Images/AFP通信)

12月2日、国際赤十字赤新月社連盟はアフガニスタンの現状を「壊滅的」と呼び、干ばつと経済崩壊がもたらす世界最悪の飢餓は確実に悪化していると警告した。

赤十字 アジア太平洋地域ディレクターのアレクサンダー・マテオ氏はAP通信に、「冬が始まり、人々の生活は荒廃し、痛みは増した」と述べた。「暖房器具はありません。食料を確保することも以前より難しくなっています。病院はほぼ機能しておらず、病気になっても誰も助けてくれません...」

国連が11月初旬に公表した統計によると、人口の約60%にあたる約2,400万人が飢餓に苦しみ、その中の5歳未満の児童約300万人は、年末までに深刻な急性栄養失調に直面すると予想されている。

昨年から続く数十年に一度の干ばつは国土の約80%に深刻な影響を与えており、農作物の大半が枯れ、農家は収入を失い、村を離れ都市部で職を求めるようになった。国連の統計によると、今年干ばつで家を追われた人は推定70万人、過去数年の戦闘で家を失った人は350万人を超えたという。

マテオ氏は、「冬が始まる以前から脆弱な人はさらに脆弱に、飢えている人はさらにひどく飢え、死にかけている人は確実に死ぬでしょう」と語った。

国際金融機関はタリバン政府への援助を打ち切り、米国はアフガン中央銀行の海外資産約95億ドルを凍結した。アフガニスタンの銀行システムは世界の大部分から切り離されており、タリバンは深刻な現金不足に見舞われ、公務員に給与を支払えなくなった。

マテオ氏はAP通信に、「干ばつ、旧政府の崩壊、制裁、その他の要因が深刻な人道的危機を引き起こし、それは確実に悪化している」と述べた。

ロイター通信などによると、首都カブールの小児病院はやせ衰えた子供でいっぱいになり、床で治療を受けている子供もいるという。

生後3ヶ月の乳児を病院に連れて行った母親はメディアに、「水を買うお金もない」と語った。「カブールに仕事はありません。タリバン政府のせいで経済は崩壊しました。給与を払える余裕のある雇用主はどこにもいません」

国連は現在、何ヶ月も賃金を受け取っていない医療従事者に給与を支払う計画を立てており、その他の支援も合わせて準備している。

赤十字はこの2カ月間、約21万人を養える食料を準備し、毛布、断熱材、ヒーターなどの防寒品も合わせて配布した。また、全国の約150の医療施設には資金を提供している。

国際通貨基金(IMF)によると、アフガニスタンのGDPは今年、最大30%縮小する可能性があるという。対外援助はアフガニスタンのGDPの約45%、年度予算の約75%を占めていた。

また国連開発計画によると、貧困ライン以下で生活する人の割合は、来年半ばまでに人口の約97%に達する見込みだという。

マテオ氏は現金不足の速やかな解決を訴え、それを実現するためには「人道的危機を引き起こす制裁」を解除しなければならないと述べた。「アフガニスタンに対する制裁はタリバンではなく脆弱な人々を苦しめています...」

2021年12月2日/アフガニスタン、首都カブール、国際赤十字赤新月社連盟 アジア太平洋地域ディレクターのアレクサンダー・マテオ氏(Petros Giannakouris/AP通信)
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