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ハイチ中部でギャング暴力激化、少なくとも30人死亡


ハイチでは近年、首都ポルトープランスを中心にギャングの支配が急速に拡大し、国家の統治機能が著しく弱体化している。
2024年10月7日/ハイチ、首都ポルトープランス郊外の避難所(AP通信)

カリブ海の島国ハイチで武装ギャングによる襲撃事件が発生し、少なくとも30人が死亡した。現地メディアが30日に報じた。現地では被害の全容把握が困難な状況が続いており、実際の死者数はさらに増える可能性があるという。

襲撃が起きたのは中部アルティボニット県郊外の地区。同地域の最大勢力であるギャング「グラン・グリフ(Gran Grif)」が関与したとみられる。同組織は29日早朝にこの地区に侵入し、民家への放火や無差別攻撃を行った。銃撃や暴力行為により、多くの住民が逃げ場を失い、通りや民家周辺に遺体が残されたままになるなど、極めて深刻な状況が報告されている。

AP通信は人権団体関係者の話しとして、「現地で少なくとも30人の遺体を確認し、通信や交通の妨害によって未確認の犠牲者が多数存在する可能性がある」と報じた。

地元テレビ局は50~60人が処刑された可能性があると報じている。一方、国家警察は死者数について、報道より少ないと報告しているが、正確な数は不明。情報の食い違いが混乱に拍車をかけている。

国家警察は国際社会の支援を受けて治安回復を試みている。APによると、ケニア主導の国連多国籍部隊と連携して、攻撃を受けた地区の住民の救出や避難誘導を進めているという。しかし、ギャング側は道路を封鎖し障害物を設置するなど、進入を妨害し、治安部隊の活動は大きく制約されている。結果として、この地区は依然としてグラン・グリフの支配下にあるとみられる。

グラン・グリフはアルティボニット県一帯で影響力を拡大してきた組織で、過去にも大規模な虐殺事件を引き起こしている。2024年には同地域で70人以上が殺害される事件が発生し、今回の襲撃もその延長線上に位置づけられる。地域住民の間では、暴力の連鎖が止まらないことへの強い不安が広がっている。米政府はグラン・グリフを外国テロ組織に指定している。

ハイチでは近年、首都ポルトープランスを中心にギャングの支配が急速に拡大し、国家の統治機能が著しく弱体化している。武装ギャングは地方にも進出し、農村部を含めた広範な地域で暴力が常態化。国連の報告でも、多数の市民が犠牲になるなど、深刻な治安悪化が指摘されている。

今回の事件はハイチにおける治安崩壊の現実を改めて示すものとなった。政府と国際社会による対策が続く一方で、現場では依然として市民の安全が確保されておらず、事態の収束には時間を要する見通しである。暴力の連鎖を断ち切るための実効的な対応が求められている。

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