◎アルコス氏の頭部は胴体の上に置かれ、上半身にカルテルのシンボルが刻まれていた。
2024年10月8日/メキシコ、南部ゲレロ州チルパンシンゴの市庁舎前、暗殺されたアルコス市長を追悼する市民(AP通信)

メキシコ南部ゲレロ州チルパンシンゴの市長が殺害されたことを受け、同州および中部グアナフアト州の4市長が公安当局に保護を要請した。国家公安委員会が8日、明らかにした。

殺害されたのはチルパンシンゴのアレハンドロ・アルコス(Alejandro Arcos)市長。1週間前の9月30日に就任し、今月6日に遺体となって発見された。

地元メディアによると、アルコス氏の頭部は胴体の上に置かれ、上半身にカルテルのシンボルが刻まれていたという。

国家公安委員会の幹部は地元テレビ局の取材に対し、「4市長はアルコス氏の遺体が発見された翌日、保護を要請した」と語った。

ゲレロ州は同国で最も危険な地域のひとつであり、複数の麻薬カルテルやギャングが10年以上前から血生臭い縄張り争いを繰り広げている。

グアナフアト州の治安はさらにひどく、世界最大の麻薬組織「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」や№2の「ハリスコ新世代(Jalisco New Generation)」、麻薬組織「湾岸カルテル」などが支配権をめぐって抗争を繰り広げている。

グアナフアト州では6月の総選挙前に少なくとも4人の市長候補が殺害された。いずれの事件も逮捕者は出ていない。

公安は4市長が保護を求めた理由を明らかにしていない。

またアルコス氏殺害の捜査の詳細もほとんど明らかにせず、「市長は死の直前、個人的な会合に出席するためにスタッフを残して出て行った」とだけ述べた。

アルコス氏は以前、地元メディアのインタビューで、「保護が必要だ」と訴えていた。しかし、公安はアルコス氏本人から正式な保護要請は受けていないとした。

州政府および連邦政府は必要に応じて、市長に防弾車、ボディーガードの増員、緊急通報システムを提供することができる。

チルパンシンゴは長い間、麻薬カルテル「ロス・アルディジョス」と対立するカルテル・ギャングによる血生臭い縄張り争いの舞台となってきた。

この抗争の結果、何百件もの凄惨な殺人事件が発生した。

ロス・アルディジョスは2023年7月、麻薬と武器所持で逮捕された2人のリーダーの釈放を勝ち取るためにデモを主導。警察の装甲車を乗っ取り、幹線道路を封鎖、警察を人質に取った。

麻薬カルテルやギャングは暴力の根絶を訴える首長や首長候補を標的にする。

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