ハイチ中部で警察官3人と民間人2人死亡、ギャング戦争激化
ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
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ハイチ政府は23日、ギャング暴力が急増している中部アルティボニット県で警察官3人と民間人2人が殺害されたと明らかにした。
それによると、殺害された警察官は主にデモや騒乱時に活動する専門部隊UDMOの所属メンバーであった。
ソーシャルメディアで共有された動画には炎上する装甲車の近くで少なくとも2人の警察官の遺体を引きずり回す銃を持った男たちの姿が映っていた。
現地の警察労働組合は声明で、殺害された警察官と共に戦っていた2人の市民も「戦死」したと述べた。
同組合は政府に対し、警察の保護を強化するよう求めると共に、「必要であれば反乱を起こす用意がある」と警告した。
暫定大統領評議会は23日、この事件を非難し、殺害された5人に哀悼の意を表した。
また同評議会は治安部隊が事件に関与したギャングを追跡していると述べた。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。
ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は24年10月~25年6月までの間に、ギャング暴力により全国で少なくとも4864人が死亡、130万人もの市民が避難を余儀なくされていると報告している。
国連ハイチ統合事務所(BINUH)が運営するMSS(ハイチ国連支援ミッション)はポルトープランスなどで国家警察を支援しているが、兵力、資金、装備の不足に直面し、困難な状況にある。