◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
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中米ハイチの国家警察は19日、首都ポルトープランス近郊の高級住宅街で銃撃戦が発生し、ギャングの構成員とみられる28人が死亡したと明らかにした。
現地メディアによると、同国最大の武装ギャング「G9&Family」の指導者である元警察官の通称「バーベキュー」ことシェリジエ(Jimmy "Barbecue" Cherizier)が住宅街への襲撃を主導したという。
シェリジエは18日、SNSに動画を投稿し、「複数の同盟組織で構成されるギャング連合軍が攻撃を開始した」と主張していた。
国家警察の報道官は声明で、「治安部隊と地元の自警団がギャングの構成員とみられる28人を殺害した」と明らかにした。
ギャングは19日の夜明け前に高級住宅街に侵入。攻撃を開始したとされる。ギャングは住宅街に通じる道路にトラックを止め、治安部隊の立ち入りを妨害したという。
現地メディアによると、住民は自警団を雇ってギャングに反撃。その後、治安部隊が到着し、ギャングを挟み撃ちしたとみられる。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは2年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は先月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
暫定大統領評議会は先週、コニーユ(Garry Conille)首相を突然解任し、フィスエイム(Alix Didier Fils-Aimé)氏を後任に指名した。解任の理由は明らかにしていない。
ジェリジエは暫定大統領評議会の委員9人に辞任を要求し、応じない場合は「必要な措置を取る」と警告していた。
国家警察の報道官は声明の中で、「午前2時頃、ギャングと思われるメンバーを乗せた2台の車両が住宅街に侵入し、うち1台が幹線道路を封鎖した」と述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
自警団のメンバーとみられる男性はSNSに動画を投稿。覆面をした男が遺体の首を切ったり、四肢を切断して遺体を積み上げる様子が映っていた。
自警団とみられる複数人はその後、遺体の山にタイヤを乗せ、液体をかけ、火をつけた。
自警団による過激な報復はポルトープランスのほぼ全域がギャングの支配下に置かれ、無法地帯になっていることを意味する。
昨年SNSで拡散した動画にはギャングとみられる数十人が群衆に石を投げつけられ、生きたまま焼かれる様子が映っていた。