スポンサーリンク
◎ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
2024年11月19日/ハイチ、首都ポルトープランス、銃撃戦が発生した住宅地から逃れる人々(AP通信)

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は20日、ギャングの支配下に置かれる中米ハイチの首都ポルトープランスで暴力が激化し、この1週間で少なくとも150人が死亡したと明らかにした。

OHCHRのターク(Volker Turk)高等弁務官は声明で、「死者の半数以上がギャングと警察の銃撃戦によるものである」と述べた。

またターク氏は「この1週間、ポルトープランスと周辺地域で銃撃戦が相次ぎ、少なくとも92人が負傷、約2万人が家を追われた」と明らかにした。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは2年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は先月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

暫定大統領評議会は先週、コニーユ(Garry Conille)首相を突然解任し、フィスエイム(Alix Didier Fils-Aimé)氏を後任に指名した。解任の理由は明らかにしていない。

ターク氏は「ポルトープランスと外部を結ぶ全ての主要道路がギャングの支配下に置かれているため、市内の住民推定400万人が事実上人質に取られている状況だ」と警告した。

またターク氏は国際社会に対し、ハイチの窮状に目を向け、「必要な措置」を取るよう促した。

ハイチ国連支援ミッションを率いるケニア国家警察は地元当局と連携してギャングを取り締まっているが、主導権を取り戻せずにいる。

ケニア警察は今年6月、ポルトープランスに警察官約400人を派遣した。

隣国ジャマイカも20人近い警察官と兵士を派遣しているが、その数はチャド、ベナン、バングラデシュ、バルバドスなど、様々な国から派遣を約束された2500人を大きく下回っている。

ミッションが求めている予算は6億ドルだが、これまでのところ、資金提供を約束しているのは米国(3億8000万ドル)とカナダ(8500万ドル)だけである。

米国は部隊を強化するための資金と人員を増やすよう働きかけている。

しかし、国連安全保障理事会は先月、このミッションを現在の安全保障支援から国連の委任統治下に置く平和維持ミッションに格上げしてほしいというハイチ政府の要請を退けた。

米国もPKOへの格上げを提案しているが、常任理事国の中国とロシアが難色を示している。

アフィリエイト広告
スポンサーリンク