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ジンバブエ火力発電所改修、400メガワットの電力増強計画始まる

中央政府はインドの鉄鋼大手ジンダル・スチール(Jindal Steel)のアフリカ部門と15年の契約を結び、老朽化した発電所の複数ユニットを改修・復旧する計画を打ち出した。
ジンバブエの送電鉄塔(Getty Images)

ジンバブエ政府が今週、国内最大の石炭火力発電所であるワンゲ(Hwange)発電所の大規模改修を進め、400メガワットの電力増強計画を発表した。これは同国の現在の電力需要約2000メガワットの5分の1に相当する大規模な増強となる見込みである。国営電力会社ZESA(Zimbabwe Electricity Supply Authority)が明らかにした。

中央政府はインドの鉄鋼大手ジンダル・スチール(Jindal Steel)のアフリカ部門と15年の契約を結び、老朽化した発電所の複数ユニットを改修・復旧する計画を打ち出した。契約は2025年12月に最終調印され、すでに準備が整っており、2026年第1四半期(1~3月)から本格的な工事に着手する予定である。

同発電所は総出力1520メガワットを有しており、すでに2023年には新設ユニット2基の稼働により600メガワットが追加されたが、1980年代に建設された既存ユニットは老朽化により総能力の3分の1程度しか稼働していない状況にある。このため、ジンバブエは長時間の停電や供給不足に悩まされてきた。今回のプロジェクトでは、古いユニットの改修・機器更新を通じて性能を回復し、最終的に電力供給能力を大幅に改善することが目標となっている。

ZESAは声明で、契約締結に関して「この15年契約は発電能力の強化につながり、今後48カ月以内に400メガワットを追加できる」と述べた。具体的には老朽化した設備のボイラー、タービン、発電機などの交換・復旧を行い、各ユニットを本来の性能まで引き上げる計画であるという。

ジンバブエでは発電不足が慢性的な課題となっており、需要の約半分しか供給できておらず、電力不足状態が続いている。加えて同国最大の水力発電所であるカリバ(Kariba)発電所も近年の干ばつの影響により発電量が低下している。このため国内の電力供給は不安定な状態が長期化、停電が常態化している地域もある。今回の改修はこうした供給不足の改善にとって重要な転換点となる可能性がある。

中央政府はこのプロジェクトを通じて電力供給の安定化を図るとともに、エネルギーインフラの近代化を推進し、国民生活や産業活動の基盤強化を目指している。今後の改修工事の進捗や実際の供給能力の増加状況が注目されると同時に、老朽設備の全面的な更新や再生可能エネルギー導入などの中長期的な電力政策との整合性も課題として浮上している。今後の進展は、ジンバブエ国内の電力事情だけでなく、地域全体の経済・社会インフラの改善にも影響を与える可能性がある。

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