モロッコ全土で反政府デモ、スタジアム建設などに抗議、逮捕者も
全国の少なくとも11都市で数百人の若者が汚職を糾弾。政府が医療や教育を軽視して国際スポーツイベントに資金を注ぎ込んでいると非難した。
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モロッコの首都ラバトやカサブランカなどで若者主導の抗議デモが行われ、一部が警察と衝突した。現地メディアが28日に報じた。
それによると、全国の少なくとも11都市で数百人の若者が汚職を糾弾。政府が医療や教育を軽視して国際スポーツイベントに資金を注ぎ込んでいると非難した。
ラバトのデモ隊は2030FIFAワールドカップに向けた投資に言及。「スタジアムはあるが、病院はどこにあるのか?」などのスローガンを叫んだ。
モロッコは2030年にスペイン、ポルトガルとともにワールドカップを共同開催する準備を進めており、空港、高速鉄道、都市間鉄道、道路、インターネット網の拡張を計画している。
さらに、少なくとも3つの新スタジアムを建設し、6つのスタジアムを改修または拡張中だ。今年後半にはアフリカネイションズカップも開催される。
AP通信によると、カサブランカなどで複数のデモ参加者が逮捕されたという。
モロッコの経済はコロナ禍で大きな打撃を受けたが、徐々に回復の兆しを見せている。パンデミック中は観光業が壊滅的な打撃を受け、GDPの大幅な落ち込みを招いた。観光はモロッコ経済の重要な柱であり、外国人観光客の減少は失業率の上昇にもつながった。また、都市封鎖や物流の混乱により農業や製造業にも影響が及んだ。
しかし、政府は財政出動や社会支援を通じて経済の立て直しを図った。特にワクチン接種の進展とともに経済活動は徐々に再開され、2022年以降は製造業や輸出が回復基調にある。自動車産業や再生可能エネルギー分野が成長を牽引しており、EU諸国との経済連携も強化されている。
ただし、干ばつによる農業の不振やインフレ圧力、国際情勢の不安定さなど、依然として課題は多い。今後は経済の多角化と持続可能な成長モデルの確立が求められる。