内戦下のスーダンからチャドにコレラ拡大の恐れ、WHOが警告

チャドは内戦下のスーダンから逃れてきた数十万人の難民を受け入れている。
スーダンとチャドの国境付近にある難民キャンプ(ロイター通信)

世界保健機関(WHO)は13日、アフリカ北東部・スーダンでコレラ感染者のさらなる増加が予想され、多くの避難民を受け入れているチャドなどにコレラが拡大する可能性があると警告した。

チャドは内戦下のスーダンから逃れてきた数十万人の難民を受け入れている。

軍事政権と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は23年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。

この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の半数以上にあたる約2500万人が飢餓に直面し、数万人が死亡、1400万人以上が避難を余儀なくされ、うち400万~500万人が周辺のチャドなどに逃れたと推定されている。

激戦が続くダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

国連は23年4月~24年6月の間にハルツームだけで2万6000人以上が死亡。さらに数千人が病気や栄養失調などで死亡したと推定している。

正確な死傷者は明らかになっていないが、昨年公表されたデータによると、開戦から14か月間でハルツームだけで6万1000人が死亡した可能性がある。

現地メディアによると、過去数週間の戦闘により、ハルツームの大半の地区で電力と水供給が遮断され、コレラ患者が急増しているという。

WHOスーダン担当はオンライン会見で、「コレラがスーダンの13州に拡大し、チャドと国境を接する北ダルフールと南ダルフールを含む地域で多くの死者が出ている」と述べた。

それによると、少なくとも1854人がコレラにより死亡したという。

国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は先週、国の水道を含む公共インフラと衛生システムはほぼ機能しておらず、多くの住民が川の水などを使って生活し、ハルツームだけで1日あたり1000人超の感染者が報告されていると明らかにしていた。

WHOはコレラやデング熱、マラリアなどの感染症の流行に対抗するための大規模なワクチン接種キャンペーンを実施するため、人道支援ルートを確立し、紛争当事者に武器を置くよう呼びかけた。

コレラは感染性下痢症のひとつで、治療せずに放置すると数時間で死に至ることもある。コレラ菌に汚染された水を飲んだり食品を食べたりすることで感染する。

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