◎WHOは8月に公衆衛生上の緊急事態を宣言。3ヶ月が経過した今も、アフリカ中央部を中心に感染者が確認されている。
世界保健機関(WHO)は22日、アフリカ大陸で感染拡大が続くM痘(エムポックス)の「公衆衛生上の緊急事態」を維持すると発表した。
WHOは8月に緊急事態を宣言。3ヶ月が経過した今も、アフリカ中央部を中心に感染者が確認されている。
WHOの専門家委員会は声明で、「この決定は感染者数の増加と地理的な広がりの継続、現場での活動上の課題、国や国際パートナーにまたがる結束した対応を実施、維持することが重要であることを強調するものである」と述べた。
M痘は中央・西アフリカでよくみられる感染症のひとつ。1970年にコンゴ民主共和国で初めて検出された。
重症化リスクは低く、感染者の大半は数週間で回復する。
死亡率は地域の医療体制によって異なるが、概ね1~3%ほど。潜伏期間は7~21日で、ほとんどの患者が10~14日で発症する。空気感染を起こした事例は確認されていない。
アフリカで今年、M痘が確認された国は19か国。累計感染者は約4万8000人、死者数は1100人を超えている。
アフリカ大陸における感染者の85%、死者の99%がアフリカ中央部で報告され、そのうち、コンゴの死者が全体の99%を占めている。
コンゴでは先月、ワクチンの第一陣が配布され、感染者の減少につながったとみられる。しかし、感染者が増えている国もあり、油断できない状況が続いている。
WHOはワクチン接種の効果について議論するため、製薬会社のデータを待っている状態だ。
アフリカ疾病予防管理センター(CDC)は先月、M痘はまだ制御下にないと警告。コロナウイルスのような世界的大流行につながる可能性があるとして、国際社会にさらに支援を呼びかけた。
WHOは今週、日本のKMバイオロジクス社が製造したM痘ワクチンを1歳以上の小児に1回接種で使用することを承認した。