◎エチオピア政府とティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線は9日間の協議を経て、11月2日に停戦に合意した。
世界保健機関(WHO)は9日、エチオピアの北部ティグライ州に食料と医薬品を大量に運び込むよう呼びかけ、支援物資が全く届いていないと懸念を表明した。
WHOのテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は記者会見で、「この地域の数百万人が支援を待っている」と語った。
エチオピア政府とティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)は9日間の協議を経て、11月2日に停戦に合意した。
内戦中、政府は同州を封鎖し、国連やその他の人道機関の州内への立ち入りも厳しく制限していた。同州の人口は600万人と推定されている。
テドロス氏は停戦合意を歓迎したが、「支援物資が全く届いていない」と警告した。「多くの人が治療可能な病気で亡くなっています。多くの人が餓死しています...」
またテドロス氏は停戦合意後すぐに支援が届くと信じていたが、何も変わっていないと指摘。国際社会に支援物資を提供するよう強く求めた。
テドロス氏はティグライ州出身。保健相などを務めた。
エチオピア軍とTPLFの紛争は2020年11月に本格化し、民間人数万~数十万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃亡したと推定されている。
テドロス氏は銀行やインターネット通信などの基本的なサービスの復旧と、ジャーナリストの現地入りを許可するよう求めた。
エチオピア政府とTPLFはアフリカ連合(AU)仲介の交渉で停戦に合意し、▽敵対行為の即時停止▽武装解除▽支援物資の輸送再開▽基本サービスの復旧を約束している。
WHOのナンバー2に当たるライアン(Michael Ryan)氏はティグライ州への人道回廊が開かれたことを歓迎する一方、それを無制限に開放し続け、支援を嵐のように送り込む必要があると強調した。「この地域の住民は圧倒的な、大規模な支援を必要としています」
またライアン氏は点滴のようにゆっくり物資を送っていては取り返しのつかない事態になると警告した。
政府はティグライ州へのメディアの立ち入りを禁じている。