WHOがコレラワクチン接種の再開を発表、在庫量回復
これまでワクチン不足により、コレラ発生時の接種に限定されていたが、在庫量が改善したことを受けて予防的な大規模接種が可能になったとしている。
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世界保健機関(WHO)は4日、予防目的のコレラワクチン接種プログラムを、約4年ぶりに世界規模で再開すると発表した。これまでワクチン不足により、コレラ発生時の接種に限定されていたが、在庫量が改善したことを受けて予防的な大規模接種が可能になったとしている。
WHO、国際機関Gaviワクチンアライアンス、国連児童基金(ユニセフ)の共同声明によると、世界の経口コレラワクチンのストックは2025年に約7000万回分に回復した。2022年には世界的な需要急増のため供給が逼迫し、ストックは3500万回分まで落ち込んだため、これまで予防キャンペーンを実施できなかった。各国に必要に応じて無償で配布されるワクチンは今後の予防接種に充てられる。
再開後の最初の配分として、計2000万回分のワクチンが配布される見込みで、うちモザンビークに360万回分、コンゴ民主共和国に610万回分、バングラデシュに1030万回分が割り当てられている。モザンビークは先月の壊滅的な洪水により約70万人が被災し、清潔な水へのアクセスが損なわれたため、コレラ発生のリスクが高まっている地域として優先的に選ばれた。
WHOのテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は声明で、「ワクチン不足によりこれまでコレラ発生への反応的対応を余儀なくされたが、今やそのサイクルを断ち切る強い立場にある」と述べた。また、ワクチン接種は1歳以上を対象とし、1回投与で短期的な予防効果が期待でき、必要に応じて2回投与の計画も考慮されるとした。
コレラは水や食物を介して広がる細菌性の下痢性疾患であり、貧困、紛争、気候変動による洪水や衛生設備の破壊などが流行を助長する要因とされる。2021年以降、世界各地でコレラの発生が増加し、2025年には症例数が減少したものの、死亡者数は増加傾向にある。2025年には世界で60万件超の症例と約7600人の死亡が報告された。
ワクチン不足が深刻だった背景には、急増する流行地域への対応にストックが追いつかなかったことがある。これを受けてWHOは一時的に1回接種戦略を標準化し、通常の2回接種からの切り替えを進めたが、在庫が回復した現在でも1回接種を基本とし、2回接種は状況に応じて実施する方針を維持する。
今回の予防接種再開について、GAVIの幹部は「これまでの供給不足は、予防接種より反応的な対応に追われる状況を生んできたが、今回の配布増加は広範なアウトブレイクを防ぐ重要な節目になる」と指摘している。またユニセフもワクチン再開が子どもたちの命を守り、感染拡大を抑える上で重要だとしている。
予防接種の再開は世界的な公衆衛生対策の強化を象徴する動きであり、ワクチン供給の安定化が進む中で、コレラの流行抑制に向けた取り組みが各国で本格化するとみられる。
