西アフリカ産油国、世界的な供給過剰で買い手探しに苦戦
ナイジェリア産とアンゴラ産の原油のうち、約2000万バレルが依然として売却先を見つけられていない。
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西アフリカ産原油の輸出業者が12月および26年1月出荷予定の多数の原油(積荷)について、買い手を見つけるのに苦戦している。世界的な原油供給過剰と競争激化が背景にあり、アナリストやトレーダーはこの状況をグローバルな原油市場の需給の緩みの象徴だと指摘している。
報道によると、ナイジェリア産とアンゴラ産の原油のうち、約2000万バレルが依然として売却先を見つけられていない。アンゴラでは5〜6隻分の原油が未契約のまま残存しており、取引サイクルの遅延を招いているという。通常、西アフリカの取引サイクルは2カ月前倒しで進むが、今回の未売却分の多さは異例の事態とされる。これらの未売却分は今週に入って最大4000万バレル近くに達するとの推計も出ている。
この買い手不足の主因として、世界的な需給バランスの緩みが挙げられる。原油市場では季節的な需要の弱さに加え、運賃コストや他産地の供給条件を踏まえた購買行動の変化が進んでいる。分析会社は「西アフリカ産原油の売れ残りは、第1四半期(1~3月)にかけての世界的な原油供給過剰の反映だ」と説明する。
特に中国やインドなどの大口買い手が中東やアルゼンチン、ブラジルといった他地域のより安価で近距離の原油にシフトしている点が影響を強めている。中東産原油は1月納入分で公式販売価格が引き下げられ、輸送距離の短さも相まってアジア市場での競争力を高めている。このため、西アフリカの中〜重質原油は価格面で不利となり、一部の買い手から敬遠されている。
また、ナイジェリアの製油所が26年1月に定期点検を予定していることも、同国産原油の売れ残り増加に拍車をかけている。同製油所は通常、原油の国内需要を押し上げる存在だが、メンテナンスによる買い控えで市場に供給余剰が生じている。
未売却原油の増加は国際的な原油先物市場にも影響を与えている。世界的な供給過剰感が高まる中、北海ブレント原油価格は今週、一時1バレル60ドルを割り込み、5月以来の低水準に沈んだ。市場では需給バランスの悪化を受けた売り圧力が強まっているとの分析がある。
さらに、インドによるロシア産原油買い付けは西アフリカ産中〜重質原油の競争力低下を助長しているとされる。西側がロシアに対する制裁を強化しているにもかかわらず、インドの輸入量は堅調で、これが西アフリカ産を置き換える形になっているという。軽〜中質の西アフリカ原油に関しても、アルゼンチンやブラジル産の安価な原油との競争が激しく、販売環境は厳しさを増している。
このような状況は、西アフリカの主要輸出国であるナイジェリアやアンゴラにとって収益面での圧迫要因となり得る。国際原油市場は依然として供給余剰が続くとの見方が強く、市場参加者は今後の需給動向やOPECプラスの対応動向を注視している。
