ECOWAS代表団がギニアビサウに到着、軍政指導部と協議へ
ギニアビサウは1974年のポルトガルからの独立以来、複数回のクーデターや未遂を経験。今回の軍事介入は同国にとって新たな危機の一因となっている。
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西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の代表団が1日、軍事クーデターで混乱が続くギニアビサウに到着し、実権を掌握した軍政指導者らとの調停交渉に乗り出した。目的は「憲法秩序の完全な回復」である。
代表団を率いるのはシエラレオネ大統領、ECOWAS議長を務めるビオ(Julius Maada Bio)大統領。一方で軍政は前日、反政府デモやストライキ、政権への「脅威」とみなされるあらゆる活動の禁止を宣言し、公的機関や省庁の業務再開を命じていた。
今回の政治的混乱は先週末に行われた大統領選挙を発端とする。選挙の結果発表を目前に、現職と野党候補がそれぞれ当選を主張。だが軍は11月26日に政権を掌握し、エンバロ(Umaro Sissoco Embalo)大統領を解任した。
エンバロ氏はセネガルに移動後、コンゴ共和国のブラザビルへ渡った。軍は直ちに国境封鎖と選挙手続き停止を宣言し、国家権力を掌握した。
軍による実権掌握後、ホルタ・ウンタ・ナマン(Horta Inta-A Na Man)将軍が暫定大統領に就任、任期は最大1年としている。
これに対しECOWASは、ギニアビサウの加盟資格を停止し、「完全かつ実効的な憲法秩序の回復」を求めた。そして今回の代表団派遣により、まず軍政トップとの対話を図ることになった。
国際社会からの反応も強い。特に国連事務総長は11月23日に行われた選挙で市民が平和的に投票したにもかかわらず、それが無視されたことを「容認できない民主主義の侵害」と非難し、憲法秩序の回復と拘束された公職者・野党リーダーの即時釈放を求めた。
ギニアビサウは1974年のポルトガルからの独立以来、複数回のクーデターや未遂を経験。今回の軍事介入は同国にとって新たな危機の一因となっている。また同国は、ラテンアメリカとヨーロッパを結ぶ薬物密輸の拠点とみなされ、国際的な注目が集まっている。このような政治的混乱と社会不安の連鎖は、今後の治安と民主主義にとって大きな懸念となる。
ECOWAS代表団の到着によって調停の道が再び開かれたものの、執政体制の正統性、選挙の信頼性、そして軍政側の姿勢など、多くの困難が残されている。ギニアビサウの将来と地域の安定は、この交渉の行方に大きく左右されるだろう。
