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コートジボワール議会選、与党優勢か、政治的分裂が続く中

ワタラ(Alassane Ouattara、83歳)大統領の与党は議会での安定多数確保を目指している。
2025年8月9日/アフリカ西部・コートジボワール、アビジャン、ワタラ大統領に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)

アフリカ西部・コートジボワールで12月27日、国民議会(下院、定数255)選挙が行われ、開票作業が続いている。今回の選挙は10月に行われた大統領選の結果を巡る深刻な対立と緊張を背景に実施され、国内の政治的分裂が議会選にも影響を及ぼしている。

ワタラ(Alassane Ouattara、83歳)大統領の与党は議会での安定多数確保を目指している。

対立軸となっているのは、政権側と野党勢力の間の根深い不信感だ。野党側は大統領選で主要な対立候補が裁判所の判断で排除されたことに強く反発しており、この不満が議会選にも引き継がれている。中でも、元大統領が率いる野党PPA-CIは今回の選挙を全面的にボイコットする方針を掲げ、「自由で公平な選挙条件が整っていない」と主張して候補者擁立を拒否した。

有権者数は約870万人と見積もられ、2700人以上の候補が議席を争っている。野党は選挙前から与党による有権者データの不正収集や買収を告発し、これが選挙過程に不透明さを生んでいる。野党側によると、電話番号や投票所情報を含む個人情報が対価と引き換えに集められたとの申し立てもあり、独立選挙監視団が法的手続きでの対応を呼びかけている。

こうした情勢は、コートジボワール国内の政治バランスを測る重要な指標になるとみられている。関係者からは、今回の議会選の結果が与党の支配力や野党の実力を反映するものになるとの見方が出ている。また、最近設立された中堅・若手中心の政党ADCIも新たな勢力として存在感を示しつつあり、将来的な議会グループ結成を視野に入れて一定数の議席獲得を目指している。

選挙当日は一部地域で投票所の設営遅れや雨天もあり、有権者の足取りに影響を与えたとの報道もある。開票は順調に進められているものの、最終結果の公表は12月28日から30日頃になる見込みだ。選挙後の法的な異議申し立てや結果に対する評価は1月初旬までに処理され、その後通常国会が招集される予定である。

議会選はワタラ政権が今後どのように政治的支配を強化するか、また野党がいかに影響力を維持するかを示す重要な節目となる。野党内部の分裂や一部勢力のボイコットが続く中、与党の優位が続くか、それとも新興勢力や無所属候補が躍進するかが注目されている。結果は国内の政治状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。

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