◎避難者の89%が女性と子供で、その多くが避難場所を確保できず、屋外にとどまっている。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は17日、ソマリランドの係争地ラスアノド(Las-Anod)をめぐる反政府勢力と治安部隊の戦闘に市民18万5000人以上が巻き込まれ、避難を余儀なくされたと発表した。
OCHAは声明で、「避難者の89%が女性と子供で、その多くが避難場所を確保できず、屋外にとどまっている」と報告した。
ソマリランドは1991年にソマリアから独立。国連加盟国は同国の独立を承認していないが、台湾は2020年に外交関係を結び、米国を含む10カ国が首都ハルゲイサに駐在員事務所、ケニアとエチオピアは外交使節団の公館を設置している。
プントランドは1998年、当時のソマリア暫定政府の承認に基づき、自治を宣言した。
ソマリランドの人口は約450万人。隣国ソマリアはイスラム過激派組織アルシャバーブの攻撃にさらされ、世界で最も危険な国のひとつと呼ばれる一方、ソマリランドの治安は比較的安定していた。
しかし、数カ月前にラスアノドをめぐる紛争が勃発して以来、ソマリランドの広い範囲で緊張が高まっている。
ソマリア政府に忠誠を誓うプントランドの民兵は今月初め、この地域に拠点を置く武装勢力を攻撃し、治安部隊も戦闘に巻き込まれ、少なくとも57人が死亡、400人以上が負傷した。
ラスアノドの医療当局によると、負傷者は市内にある3つの建物に入院しているという。犠牲者の身元は不明。ソマリランド政府は今月10日に停戦を一方的に宣言したが、戦闘は続いているとみられる。
ソマリランド政府はソマリア政府を非難しているが、ソマリア政府はこの問題への関与を否定している。
ソマリアのバレ(Hamza Abdi Barre)首相は17日、ツイッターに声明を投稿し、停戦を歓迎したが、地元の人道支援団体や活動家はラスアノドの広い範囲で戦闘が続いていると報告した。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報道官は同日、ジュネーブの記者団の対し、「隣国エチオピアの南東部に逃げ込んだソマリア人は6万人を超えた」と明らかにした。
報道官によると、エチオピアには連日1000人以上のソマリア人が入国し続けているという。