◎軍事政権と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は昨年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
国連安全保障理事会が8日、アフリカ北東部・スーダンで軍事政権と対立する準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の将官2人に制裁を科した。
国連安保理がRSF関係者に制裁を科したのは初めてである。
軍政とRSFは昨年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の5割強、約2500万人が飢餓に直面し、2万4000人以上が死亡、数万人が負傷したと推定されている。
激戦が続く西部ダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
国連安保理のスーダン内戦を調査する委員会は8日、RSFの活動責任者とダルフールの部隊を指揮する司令官に対し、国際的な渡航禁止と資産凍結を科した。
これは今年8月に米国が提案した制裁案である。
ロイター通信によると、常任理事国のロシアが米国の案に懸念を示し、採決が遅れていたという。
米財務省は5月、この2人を含むRSF幹部3人を制裁リストに追加した。
一方、ユニセフ、世界保健機関(WHO)、国際機関Gaviワクチンアライアンスは今週、軍政と協力して15地域の生後5~12カ月の児童約14万8000人にワクチンを接種するキャンペーンを開始した。
WHOによると、スーダンの昨年のマラリア感染者は340万人以上、死者は約7900人と推定されている。内戦の影響で正確な数を把握することは困難である。
国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は先週、RSFが複数の地域で民間人を虐殺していると非難した。
軍政とRSFは現在、ハルツームと北ダルフール州エルファーシルで激戦を繰り広げているとみられる。
その結果、各地でマラリアやコレラなどの感染症が蔓延、RSFに包囲されている北ダルフール州ではいつ飢饉が発生してもおかしくない状況になっている。
RSFはダルフール5州のうち4州(東、西、中央、南)を支配するも、軍政とその支援民兵が激しい抵抗を続ける北ダルフール州の制圧には苦戦している。