国連安保理、スーダン準軍事組織RSFの新政府樹立を非難

RSFは先月末、ダガロ司令官率いる新政府「スーダン建国同盟指導評議会(TASIS)」を立ち上げた。
アフリカ北東部・スーダン、準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」のダガロ司令官(AP通信)

国連安全保障理事会は13日、アフリカ北東部・スーダンの悪名高い準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」による新政府の創設を拒否し、進行中の内戦を悪化させていると非難した。

安保理は声明で、RSFがスーダンの領土の完全性を脅かし、内戦を激化させ、壊滅的な人道危機に拍車をかける可能性があると警告した。

また安保理はスーダンの主権、独立、統一に対する揺るぎないコミットメントを再確認した。

そして、「これらの原則を損なういかなる措置も、スーダンの未来だけでなく、広範な地域の平和と安定を脅かす」と述べた。

RSFは先月末、ダガロ(Mohammed Hamdan Dagalo)司令官率いる新政府「スーダン建国同盟指導評議会(TASIS)」を立ち上げた。

新政府はダガロ氏が15人の委員で構成される大統領評議会の議長を務めると主張した。

TASISによると、ダガロ氏に近い野党政治家が首相に就任する予定。

TASISは軍事政権の最高指導者であるブルハン(Abdel-Fattah Burhan)将軍の「首」を取り、全土を掌握するまで戦い続けると誓った。

一方、安保理はRSFの「自称政府」樹立が国の分裂を招き、深刻な人道状況を一層悪化させるリスクがあると指摘した。

軍政とRSFは23年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。

この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の半数以上にあたる約2500万人が飢餓に直面し、数万人が死亡、1400万人以上が避難を余儀なくされ、うち約500万人が周辺国に逃れたと推定されている。

激戦が続くダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

国連は23年4月~24年6月の間にハルツームだけで2万6000人以上が死亡。さらに数千人が病気や栄養失調などで死亡したと推定している。

正確な死傷者数は明らかになっていないが、昨年公表されたデータによると、開戦から14カ月間でハルツームだけで6万1000人が死亡した可能性がある。

国際刑事裁判所(ICC)は先月、RSFが北ダルフール州エルファーシルを除くダルフール地方で「戦争犯罪」と「人道に対する罪」を犯し続けていると裁定した。

RSFはこの1年間、ダルフールの中で唯一支配下にないエルファーシルへの攻撃を続けてきた。

エルファーシルはハルツームの南西800キロに位置し、ダルフールにおける軍事政権の最後の主要拠点となっている。RSFは24年5月からエルファーシルを包囲している。

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