スーダン準軍事組織RSF、ダルフール地方で89人虐殺、国連が発表
8月10~11日の攻撃では少なくとも57人が死亡。さらに16~20日の間に少なくとも32人が殺害されたとのこと。
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国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は22日、アフリカ北東部・スーダンの準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が西部ダルフール地方で少なくとも89人の民間人を殺害し、そのうち16人は即決処刑されたと明らかにした。
OHCHRのターク(Volker Turk)高等弁務官の報道官はジュネーブの記者団に対し、「RSFは8月11日から20日にかけて、北ダルフール州エルファーシルの難民キャンプを襲撃し、民間人を虐殺した」と語った。
また報道官は「死者数はさらに増加する可能性がある」と述べた。
8月10~11日の攻撃では少なくとも57人が死亡。さらに16~20日の間に少なくとも32人が殺害されたとのこと。
RSFは声明を出していない。
報道官はRSFが意図的に民間人を標的にしていると非難。「国際人道法違反、戦争犯罪であり、容認できず、この内戦が危機的状況に達していることを痛感し、懸念を深めている」と述べた。
軍事政権とRSFは23年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の半数以上にあたる約2500万人が飢餓に直面し、数万人が死亡、1400万人以上が避難を余儀なくされ、うち約500万人が周辺国に逃れたと推定されている。
激戦が続くダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
国連は23年4月~24年6月の間にハルツームだけで2万6000人以上が死亡。さらに数千人が病気や栄養失調などで死亡したと推定している。
正確な死傷者数は明らかになっていないが、昨年公表されたデータによると、開戦から14カ月間でハルツームだけで6万1000人が死亡した可能性がある。
国連児童機関(ユニセフ)によると、RSFは先月、北コルドファンと南コルドファン両州とその周辺地域で暴れ回り、子供35人と妊婦2人を含む450人以上の民間人を殺害したという。
米国、エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、国連、アフリカ連合(AU)は20日に共同声明を発表。スーダンにおける人道危機の悪化に深刻な懸念を表明し、紛争交事者に対し、ダルフールとコルドファン地域での援助制限を解除し、主要な補給ルートを開いたままにするよう求めた。
この内戦が終結する目途は全く立っておらず、民間人の犠牲が増え続けている。
RSFはこの1年間、ダルフールの中で唯一支配下にないエルファーシルへの攻撃を続けてきた。
エルファーシルはハルツームの南西800キロに位置し、ダルフールにおける軍事政権の最後の主要拠点となっている。RSFは24年5月からエルファーシルを包囲している。
RSFは先月末、ダガロ(Mohammed Hamdan Dagalo)司令官率いる新政府「スーダン建国同盟指導評議会(TASIS)」を立ち上げた。