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中央アフリカ共和国で国連車両が川に転落、5人死亡

中央アフリカ共和国はイスラム教徒で構成されるセレカが2013年に当時のボジゼ大統領を退陣に追い込んで以来、内戦状態にある。
2024年3月8日/中央アフリカ共和国、MINUSCA(国連中央アフリカ多次元統合安定化派遣団)の兵士(AP通信)

中央アフリカ共和国で国連の装甲輸送車が川に転落し、MINUSCA(国連中央アフリカ多次元統合安定化派遣団)の要員5人が死亡した。MINUSCAが17日、明らかにした。

それによると、事故は首都パンギ郊外で16日に発生。5台編成の車列のうち、1台が橋を渡る前に川に転落したという。

車列はバンギで物資を調達後、別の町へ戻る途中であった。

MINUSCAの報道官は声明で、「亡くなったのは全員、コンゴ民主共和国軍に所属する兵士であった」と明らかにした。

事故原因は明らかになっておらず、MINUSCAが調査している。

政府はコメントを出していない。

中央アフリカ共和国はイスラム教徒で構成されるセレカが2013年に当時のボジゼ(Francois Bozize)大統領を退陣に追い込んで以来、内戦状態にある。

この政変後、キリスト教徒で構成される民兵が反撃に転じ、多くのイスラム教徒を処刑した。

国連はMINUSCAを派遣して治安維持任務に当たっているものの、現在も国土の3分の2がセレカや他の反政府勢力の支配下に置かれている。

同国の治安状況は独立以降、一貫して不安定であり、政治的、経済的、社会的要因が複雑に絡み合っている。1960年の独立以降、クーデターや内戦が断続的に発生しており、国家としての統治能力は脆弱である。特に2013年以降はセレカと民兵組織アンティ・バラカ(Anti-Balaka)の衝突が激化し、バンギを含む広範な地域で民間人への暴力行為が常態化した。

治安の悪化には宗教・民族間対立も影響している。セレカは主に北部のムスリム系武装勢力、アンティ・バラカはキリスト教徒を中心とした民兵であり、勢力間の衝突は宗派紛争の様相を帯びている。このため市民はしばしば迫害や略奪の対象となり、国内避難民や難民が多数発生している。国連やアフリカ連合(AU)は平和維持部隊を派遣しているが、広大な国土と限られた部隊数のため、治安回復は限定的にとどまる。

また経済的要因も治安悪化に寄与している。同国は鉱物資源に恵まれる一方で、政府による適切な管理が行き届かず、鉱山地帯は武装勢力の資金源となっている。資源を巡る武力衝突や違法採掘も頻発しており、治安の不安定さをさらに悪化させている。加えて、交通インフラや警察組織の整備が不十分であるため、犯罪や武装強盗に対する対応能力は極めて低い。

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