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国連、ルワンダにコンゴ東部からの撤退を要求、平和維持活動1年間延長

安保理は声明で、M23によるコンゴ東部での攻勢を強く非難し、ルワンダに対し「全面的な撤退」を要求した。
2022年3月29日/コンゴ民主共和国、東部地域を巡回する国連平和維持ミッション(Djaffar-Sabiti/ロイター通信)

国連安全保障理事会は19日、コンゴ東部におけるルワンダ軍の撤退を強く要求するとともに、同地域での国連平和維持活動「MONUSCO(国連コンゴ民主共和国安定化ミッション)」の任務を1年間延長する決議を全会一致で採択した。

決議は反政府勢力「M23(3月23日運動)」に対するルワンダの支援・関与を非難し、軍隊の撤収と武装勢力支援の停止を求める内容となっている。

安保理は声明で、M23によるコンゴ東部での攻勢を強く非難し、ルワンダに対し「全面的な撤退」を要求した。M23は先週、戦略的に重要な都市ウビラを掌握した後、米国の圧力を受けて撤退したと主張しているが、コンゴ政府はこれを「演出されたものであり、依然として勢力を維持している」と反発している。米国の国連大使は理事会で、M23はウビラから少なくとも75キロメートル撤退すべきだと述べた。

今回採択された決議ではMONUSCOの任務延長も盛り込まれ、約1万1500人規模の部隊を残留させることが決まった。MONUSCOは2010年に前身の平和維持活動から引き継がれ、民間人の保護や人道支援の確保、コンゴ政府の安定化支援を目的に活動してきたが、これまでに十分な成果を挙げられなかったとの批判もある。現地住民の多くは、自身の安全が十分に守られていないとして抗議し、過去には死者を伴うデモも発生している。

安保理がルワンダに撤退を求める背景には、今年初めに米ワシントンDCでコンゴとルワンダの両大統領が米国の仲介で署名した和平合意がある。この合意にはルワンダがM23や他の武装勢力への支援を停止することが盛り込まれていたが、M23は和平交渉に参加しておらず、双方が休戦合意違反を互いに非難してきた経緯がある。今回の攻勢はこの和平合意にもかかわらず激化したもので、安保理は和平プロセスの促進と停戦の徹底を強調している。

国連や米国、コンゴ政府の専門家はルワンダがM23への支援を継続していると指摘している。

M23の戦力は2021年時点で数百人規模であったが、現在では約6500人にまで拡大し、地域の不安定化を助長しているとされる。一方でルワンダ政府は支援を否定し、自国の軍事的関与は自衛上の必要があると主張している。

コンゴ東部ではルワンダ支持勢力に限らず、100を超える武装勢力が鉱物資源が豊富な地域で勢力を競っており、紛争は深刻な人道危機を引き起こしている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、衝突の激化により700万人以上が国内外で避難を余儀なくされているという。

MONUSCOは2023年にコンゴ政府の要請を受け、段階的に軍の縮小と治安責任の移譲を進めることが決議されていたが、戦況の悪化を受けて今回の延長が決まった。今後は和平合意の履行や武装勢力の解体、地域住民の安全確保が焦点となる。

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