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国連平和維持軍、南スーダン軍の撤退命令を拒否、人道危機拡大

政府軍は反政府勢力に対する攻撃作戦を計画しており、国連職員や人道支援団体、住民に対してエチオピア国境近くのエリアから退去するよう命じていた。
2020年11月21日/南スーダン、東部の集落(Getty-Images/AFP通信)

南スーダン東部のジョングレイ州で政府軍の退去命令に対して国連平和維持部隊が拠点にとどまる方針を示し、緊張が高まっている。民間人保護を理由に命令に従わない姿勢を示したもので、衝突拡大や人道危機の深刻化が懸念されている。

国連南スーダン派遣団(UNMISS)は10日、政府軍が国連拠点の閉鎖と撤退を命じたにもかかわらず、部隊は引き続き駐留すると発表した。政府軍は反政府勢力に対する攻撃作戦を計画しており、国連職員や人道支援団体、住民に対してエチオピア国境近くのエリアから退去するよう命じていた。これに対し国連は、住民を守るため「保護的な存在」を維持する必要があるとし、軍事行動は民間人の安全を著しく脅かすと警告した。

対象の集落はエチオピア国境近くに位置し、反政府勢力の拠点の一つとされる。近隣地域での戦闘を逃れた住民が集まり、数万人が避難している。町には小規模ながらUNMISSの部隊が駐留し、住民の保護を担ってきた。

南スーダンでは2018年に内戦終結に向けた和平合意が成立したが、ここ1年ほどで政府軍と反政府勢力の衝突が再び激化している。特に2025年12月、反政府勢力がジョングレイ州北部で政府軍の拠点を占拠したことで戦闘が拡大。政府軍はその後反攻を開始し、短期間で28万人以上が家を追われたとされる。

今回の軍事作戦を前に、多くの人道支援団体は職員をこのエリアから退避させた。国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は病院が略奪され事務所も荒らされたと報告している。地元の医療関係者によると、負傷者が多数いるにもかかわらず、薬や医療機器が不足し、治療の継続が困難な状況だという。

また住民の多くが戦闘を恐れて避難を始め、女性や子ども、高齢者が隣国エチオピアへ向かう動きも見られる。避難民は食料や医療支援が不足する厳しい状況に置かれている。

こうした事態を受け、米国、イギリス、ノルウェーの3カ国は南スーダンのキール(Salva Kiir)大統領に書簡を送り、軍の退去命令を撤回するよう求めた。攻撃が実施されれば、さらなる死者や避難民の増加を招く恐れがあると警告している。

政府軍はその後、この集落を制圧したと発表したが、現地では依然として住民の安全や支援活動への影響が懸念されている。国連は関係者との協議を続けながら、民間人保護の任務を継続する考えを示している。

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