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チュニジア首都でサイード大統領に抗議するデモ続く

この抗議のきっかけとなったのは先週、控訴裁が多数の野党指導者、ビジネスマン、弁護士らに対し、サイード政権の転覆を謀ったという「共謀罪」で、最長45年の禁錮刑を言い渡した判決である。
2025年11月22日/チュニジア、首都チュニス、サイード大統領に抗議するデモ(ロイター通信)

チュニジアの首都チュニスでサイード(Kais Saied)大統領に抗議するデモが続いている。12月6日、チュニス中心部で大規模な抗議行進が実施され、「政治囚を即刻釈放せよ」「野党は犯罪ではない」「自由なチュニジアを」といった横断幕やプラカードが掲げられた。

デモ参加者は「人民は政権の崩壊を望む」といった2011年の「アラブの春」期に使われた標語を再び唱え、幅広い政治スペクトルからの結集が目立った。

この抗議のきっかけとなったのは先週、控訴裁が多数の野党指導者、ビジネスマン、弁護士らに対し、サイード政権の転覆を謀ったという「共謀罪」で、最長45年の禁錮刑を言い渡した判決である。これを受け、著名な野党指導者、人権派弁護士、活動家らが収監対象となった。

市民や権利団体はこれを司法や警察を使った言論・政治の弾圧と非難し、「司法の独立は崩壊した」「ジャーナリストや市民活動家まで標的にされる」と訴えている。

こうした政治状況に抗議するため、国内最大級の労働組合であるUGTTは来年1月21日に全国ストライキを呼びかけている。ストの目的は表現の自由や集会の自由に対する制限に反対するとともに、賃金交渉を求めるものである。

一方、サイード氏は「司法への介入はない」「腐敗と無能の蔓延を一掃するための措置」と主張し、自身の行動を正当化している。だが、野党や人権団体、国際社会の多くはこれを権力の集中と民主主義の崩壊への道とみなしており、事態の深刻化に強い懸念を示している。

今回の抗議運動は単なる政権批判にとどまらず、司法の独立、政治的多様性、表現の自由といった「民主主義の根幹」に関わる争点が浮かび上がっており、今後、国内のみならず国際社会にとっても重大な関心事となる見込みである。

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