◎イタリア政府の統計によると、昨年チュニジアからシチリア島などへの横断を試みた移民は確認できているだけで3万2000人に達したという。
チュニジアの人権団体は23日、サイード(Kais Saied)大統領が「サハラ砂漠以南の亡命希望者が犯罪を引き起こしている」と発言したことを非難した。
人権団体FTDESの報道官はSNSに声明を投稿。「サイードの発言はヘイトスピーチにほかならず、恥を知るべきだ」と糾弾した。「私たちはサイードの人種差別スピーチを恥ずかしいと思っています。サハラ以南の移民に汚名を着せ、差別を助長する男の不快な演説に怒りを覚えます...」
また報道官は「恥、恥、恥」と投稿し、サイード氏に責任を取って辞任するよう求めた。「チュニジアの民主主義を破壊した恥さらしは今すぐ辞任してください」
少なくとも23の人権団体が先週、チュニジア政府はサハラ以南の移民の取り締まりを進める一方、市民のヘイトや人種差別発言には目をつむっていると指摘した。
アフリカ北部のチュニジアやリビアなどにはサハラ砂漠以南の紛争や混乱に巻き込まれた多くの亡命希望者が押し寄せている。
人々は西欧への亡命を夢見て、頼りないゴムボートやボロボロの木造船に乗り、イタリアのシチリア島などを目指す。
FTDESの報道官は、「共和国の大統領は責任を負うべきであり、サイードは国際法に基づき、移民の基本的人権を保障する必要がある」と述べている。「チームサイードはサハラ以南の移民に対する組織的な取り締まりを直ちに終了し、拘束した人々を解放しなさい。そして移民を保護する行政プログラムを速やかに開始し、彼らの生活再建を支援するのです...」
イタリア政府の統計によると、昨年チュニジアからシチリア島などへの横断を試みた移民は確認できているだけで3万2000人に達したという。そのうち約1万8000人がチュニジア人であった。
イタリアの沿岸警備隊は地中海で遭難したボートを難十隻も救助している。
チュニジアは深刻な政治・経済危機に直面している。国連の推計によると、人口約1200万人のうち400万人が貧困層であり、同国の沿岸警備隊と警察は予算不足の影響で移民の捜索・救助に苦慮しているという。
欧州境沿岸警備機関(Frontex)によると、昨年、地中海ルートを使った移民は確認できているだけで10万人近くに達した。その多くがチュニジア人、エジプト人、バングラデシュ人で、アフガンやシリア人も確認されている。