◎ザメル氏は今月初め、大統領選への出馬を許可されたものの、その直後に逮捕・起訴された。
来月のチュニジア大統領選でサイード(Kais Saied)大統領に挑戦する候補者の1人が詐欺容疑で実刑判決を受けた。現地メディアが19日に報じた。
ザメル(Ayachi Zammel)氏は今月初め、大統領選への出馬を許可されたものの、その直後に逮捕・起訴された。
逮捕から2週間後、首都チュニスの裁判所は大統領選出馬に必要な立候補書類を提出するために集めた署名を偽造した罪でザメル氏に禁固20カ月を言い渡した。
地元メディアによると、ザメル氏は20以上の罪に問われており、そのうち4件は19日に審理されるという。
選挙管理委員会は今月初め、大統領選への出馬を表明した野党候補17人のうち2人の立候補を許可。そのうちの1人がザメル氏であった。
大統領選は10月6日に予定されている。地元メディアが最近行った世論調査によると、サイード氏の支持率は野党2候補を大きく引き離している。
ザメル氏の弁護士は19日、AP通信の取材に対し、「ザメル氏は獄中で選挙運動を行うつもりだ」と語った。
また弁護士はザメル氏が出馬を表明した時から当局の嫌がらせを受け、逮捕すると脅されていたと主張した。
選管は19日の声明で、ザメル氏に対する判決は出馬資格に影響しないと述べた。
サイード氏は「アラブの春(2010~12年)」につながった「ジャスミン革命」で独裁者ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領を追放した政治家たちが約束を果たさず、汚職に手を染めたと非難。その勢いで大統領に就任した。
その後、サイード氏は2021年7月に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖。野党はこれをクーデターと非難し、各地で小規模な抗議デモを続けている。
議会は22年3月に解体され、同年12月に議会選が行われたものの、投票率は9%に届かなかった。
それ以来、サイード氏を敵視する野党政治家や活動家が相次いで逮捕される事態となっている。