◎サイード大統領のライバルとされる野党の有力議員の多くが投獄されているため、地元メディアによると、サイード氏の再選は揺るぎそうにない。
チュニジアの大統領選に立候補する意向を示している野党指導者ムーシ(Abir Moussi)氏が禁固2年の実刑判決を受けた。同氏の弁護団が6日、明らかにした。
ムーシ氏は最近発足した新興政党の党首で、サイード(Kais Saied)大統領と今年10月の大統領選に関連する政令を批判したとして、昨年10月に逮捕された。
弁護団によると、ムーシ氏は他人を誹謗中傷する偽情報を取り締まる通称「反フェイスニュース法」に違反した罪で禁固2年を言い渡されたという。
ムーシ氏の弁護士のひとりはAP通信の取材に対し、「ムーシ氏は10月6日の大統領選に立候補する予定である」と述べ、控訴する意向を示した。
サイード氏のライバルとされる野党の有力議員の多くが投獄されているため、地元メディアによると、サイード氏の再選は揺るぎそうにない。
サイード氏は5日、首都チュニスの選挙管理委員会に立候補届と約24万人分の署名を提出した。立候補には1万人分の署名が必要である。
サイード氏は「アラブの春(2010~12年)」につながった「ジャスミン革命」で独裁者ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領を追放した政治家たちが約束を果たさず、汚職に手を染めたと非難。その勢いで大統領に就任した。
その後、サイード氏は21年7月に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖。野党はこれをクーデターと非難し、各地で小規模な抗議デモを続けている。
議会は22年3月に解体され、同年12月に議会選が行われたものの、投票率は9%に届かなかった。