チュニジア野党、サイード大統領への抗議で結束
複数の政治的背景をもつ活動家や野党関係者がデモを率い、サイード氏による支配の終焉と民主主義の回復を強く求めた。
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チュニジアの野党勢力が13日、首都チュニスでサイード(Kais Saied)大統領に抗議する街頭デモを行った。複数の政治的背景をもつ活動家や野党関係者がデモを率い、サイード氏による支配の終焉と民主主義の回復を強く求めた。この動きは分散していた野党勢力が珍しく結束しつつあることを示すものとして受け止められている。
抗議は数週間にわたるデモ活動の延長線上で行われ、参加者らは刑務所に収監されている政治家やジャーナリスト、活動家の肖像を掲げながら首都中心部を行進した。デモ隊は週ごとに抗議行動を繰り返し、サイード政権に対する根強い怒りと不満を表明している。
サイード氏は2021年に非常権を発動して議会を事実上停止し、法令支配による統治を開始した。それ以降、野党に対する弾圧が強まっていると批判者たちは主張している。人権団体はこの統治形態を「屋外の収容所」と呼び、自由や基本的人権の後退を非難してきた。
サイード氏はこれらの批判を否定しており、汚職や不正を一掃するための措置であると説明しているが、反対派は司法や警察を用いた言論封殺が行われていると訴えている。
抗議デモの直前、チュニスの裁判所は著名な野党指導者に禁固12年の実刑判決を言い渡した。この裁判や他の政治指導者に対する有罪判決はサイード政権の権力掌握をさらに強化する試みとして人権団体や野党から強い反発を招いている。先月には反体制派の指導者や実業家、弁護士ら数十人が反逆罪で最高45年の刑を宣告されるなど、政治的弾圧の度合いが高まっている。
近年、チュニジアでは複数の市民団体が外国からの資金提供を理由に活動を停止させられるなど、政府による市民社会への統制も進んでいる。野党勢力や市民グループはこれらの措置が民主主義と司法の独立を侵害するものだとして非難している。政治的分断が深刻な状況の中、今回の抗議は野党側にとって一体感を示す重要な機会となっているが、サイード政権との対立は依然として解消されていない。
現地では今後もデモが継続する可能性が高く、政情の一段の不安定化が懸念されている。
