◎サイード大統領は今年3月、議会を解体した。
チュニジアの主要労働組合は23日、サイード(Kais Saied)大統領が提案している全国対話をボイコットすると発表した。
UGTT(チュニジア一般労働組合)の報道官は記者団に対し、「サイードは民主主義を破壊しようとしている」と語った。
サイード氏は昨年7月、政府のコロナ対策と経済政策の失敗を非難し、当時の首相を解任したうえで議会を一時的に停止し、自分の権限を強化する新憲法を施行した。サイード氏の方針に反対する野党と活動家グループはこの動きをクーデターと非難し、各地で抗議デモを続けている。
サイード氏は3月に議会を解体した。議会選は12月に予定されている。
野党は新憲法への関与を禁じられている。
UGTTは全国対話の中で政治と経済の改革について話し合うよう政府に求めているが、サイード氏はこれを拒否している。
UGTT報道官は、「私たちは役割を一方的に決め、市民と野党を政治から排除しようとする全国対話に強く反対する」と表明した。
現地メディアはUGTT委員長のコメントを引用し、「サイードが提案した全国対話は影響力のある野党指導者や議員を除外しており、この国のより良い未来を描くことはできないだろう」と報じた。
またUGTTは23日から全国規模のストライキを開始することも明らかにした。
UGTTの会員数は100万人以上。チュニジアで最も強力な労働組合とされ、ストライキは国の経済に大きな影響を与える可能性がある。サイード氏の政権奪取以降、この規模のストライキが実施されるのは初めて。
UGTTは公共部門や国営企業で働く会員のストライキ日程は後日発表するとした。
サイード政権は国際通貨基金(IMF)と財政破綻を回避する救済措置について協議中と伝えられている。一方、UGTTは政府が提案した公共部門の支出削減案を拒否し、公務員の賃上げを要求している。
サイード氏の方針に反対する勢力は抗議デモを続けているが、多くの国民が汚職の撲滅を約束し、利権に興味を示さないリベラルなサイード氏を支持しているように見える。
しかし、2010年末のジャスミン革命後に台頭した主要野党は独裁体制が再び構築される可能性があると警告している。