◎主要野党は投票をボイコットした。
チュニジアで25日、憲法改正の是非を問う国民投票が行われた。
選挙管理委員会によると、推定投票率は27.5%で、新憲法は賛成多数で承認される見通しだという。
同国のサイード(Kais Saied)大統領は昨年7月25日に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を独占した。
野党と活動家はサイード氏の強硬措置をクーデターと非難し、各地で抗議デモを続けている。議会は今年3月に解体された。議会選は12月に行われる予定だ。
サイード氏は25日、首都チュニスの投票所で「民主的な政治改革を進めるためには新憲法が必要不可欠」と記者団に語った。「チュニジアの資源と力は絶大です...過去と決別する時が来ました。新しいチュニジア、新しい共和国を建設する時が来たのです!」
現憲法は労働組合UGTT(チュニジア一般労働組合)を含む全国の活動家団体と政府の協議を経て、2014年に成立した。これは「アラブの春」の引き金となった2011年のジャスミン革命で追放された独裁者ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)の23年間の専制政治を正す内容になっている。
6月末に公表された憲法草案は、首相の権限を縮小し、大統領により大きな行政権を与え、一院制から二院制に変更するなどとしている。また大統領は議会の承認を得ずに内閣を任命できるようになる。
地元メディアが25日遅くに発表した出口調査によると、投票に訪れた人の90%以上が憲法改正に賛成したという。
イスラム政党「アンナハダ(Ennahda)」を含む野党、活動家、人権団体は投票をボイコットするよう呼びかけていた。
サイード氏はチュニジアの政治的・経済的衰退を打破するためには強力な政治改革が必要と主張している。
またサイード氏は、「この改革はジャスミン革命の精神に基づいており、国民により良い未来を約束する」としている。
しかし、反対派は大統領に権力が集まることに懸念を表明し、ベンアリ時代に戻りかねないと反発を強めている。
アンナハダを含む主要野党は投票をボイコットした。
サイード氏の支持者は利権に興味を示さず、汚職を根絶すると約束している同氏の政策を支持しているとみられる。しかし、有権者の大多数は憲法改正に興味を示さなかったようだ。